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数学I3

2次関数

グラフの平行移動、最大・最小、2次方程式・2次不等式への応用を学びます。

2次関数のグラフ

y=ax2+bx+cy = ax^2 + bx + c(a0a \ne 0)の形で表される関数を2次関数といいます。そのグラフは放物線で、a>0a > 0 なら下に凸(谷の形)、a<0a < 0 なら上に凸(山の形)になります。放物線には対称の軸(軸)があり、軸とグラフの交点を頂点といいます。グラフをかくうえで最も大事な情報が、この頂点と軸です。

基本形 y = a(x−p)² + q のグラフ

y=a(xp)2+qy = a(x-p)^2 + q のグラフは、y=ax2y = ax^2 のグラフを

xx 軸方向に ppyy 軸方向に qq だけ平行移動したもの

軸は直線 x=px = p、頂点は点 (p, q)(p, \ q)

xx 軸方向に pp 移動すると xxxpx - p に置き換わる」のは、符号が逆に見えて戸惑うところです。移動後のグラフ上の点 (x,y)(x, y)pp だけ戻した点 (xp, yq)(x - p, \ y - q) が元のグラフ y=ax2y = ax^2 の上にある、と考えると yq=a(xp)2y - q = a(x-p)^2 が出てきて納得できます。

一般形 y=ax2+bx+cy = ax^2 + bx + c は、そのままでは頂点が読み取れません。そこで、xx を含む項を a(xp)2a(x-p)^2 の形にまとめる変形(平方完成)をして基本形に直します。

平方完成の手順

1. x2x^2 の係数 aax2x^2xx の項をくくる
2. かっこの中で「xx の係数の半分の2乗」を足して引く
3. (xp)2(x - p)^2 の形を作り、余った定数を外に出して整理する

例題 1(平方完成)

y=2x28x+5y = 2x^2 - 8x + 5 を平方完成し、グラフの軸と頂点を求めよ。

解き方

まず x2x^2 の係数 22xx を含む項をくくります。

y=2(x24x)+5y = 2(x^2 - 4x) + 5

かっこの中で、xx の係数 4-4 の半分 2-2 の2乗 44 を足して引きます。

y=2{(x2)24}+5=2(x2)28+5y = 2\{(x-2)^2 - 4\} + 5 = 2(x-2)^2 - 8 + 5
y=2(x2)23y = 2(x-2)^2 - 3

よって軸は直線 x=2x = 2、頂点は点 (2, 3)(2, \ -3) です。かっこの外に出すとき、4-4 に係数 22 が掛かって 8-8 になることに注意しましょう。

平方完成はこの章のすべての話題(最大・最小、方程式、不等式)の土台になる計算です。展開して元の式に戻るか、必ず検算する習慣をつけましょう。

2次関数の最大・最小

2次関数の値がいちばん大きく(小さく)なるのはどこか——グラフをかけば一目でわかります。下に凸のグラフは頂点で最小になり、いくらでも大きくなるので最大値はありません。上に凸ならその逆です。

定義域が実数全体のときの最大・最小

y=a(xp)2+qy = a(x-p)^2 + q について

a>0a > 0 のとき: x=px = p で最小値 qq(最大値はない)

a<0a < 0 のとき: x=px = p で最大値 qq(最小値はない)

定義域が 0x30 \le x \le 3 のように制限されると話が変わります。最大・最小の候補は「頂点」と「定義域の両端」だけです。グラフの使う部分だけを太くなぞるイメージで、軸が定義域の中にあるか外にあるかを確認しながら読み取ります。

例題 2(定義域が制限された最大・最小)

y=x2+2x+3y = -x^2 + 2x + 3(0x30 \le x \le 3)の最大値と最小値を求めよ。

解き方

平方完成すると

y=(x22x)+3=(x1)2+1+3=(x1)2+4y = -(x^2 - 2x) + 3 = -(x-1)^2 + 1 + 3 = -(x-1)^2 + 4

上に凸で、軸 x=1x = 1 は定義域 0x30 \le x \le 3 の中にあります。よって頂点で最大となり、x=1x = 1 で最大値 44

最小値は定義域の両端のうち、軸から遠い方で取ります。x=0x = 0 のとき y=3y = 3x=3x = 3 のとき y=9+6+3=0y = -9 + 6 + 3 = 0 なので、x=3x = 3 で最小値 00 です。

軸と区間の位置関係で場合分け

軸に文字(たとえば aa)を含むときは、下に凸の最小値なら

1. 軸が区間より左 → 区間の左端で最小
2. 軸が区間の中 → 頂点で最小
3. 軸が区間より右 → 区間の右端で最小

の3通りに場合分けします。最大値なら「軸から遠い端」で取るので、軸が区間の中央より左か右かで場合分けします。

場合分け問題は、3通り(または2通り)それぞれの状況でグラフの略図をかくのが鉄則です。図をかけば「どこで最小になるか」は迷いません。

2次方程式

ax2+bx+c=0ax^2 + bx + c = 0(a0a \ne 0)の形の方程式を2次方程式といいます。因数分解できるときは (xα)(xβ)=0(x - \alpha)(x - \beta) = 0 の形にして解きますが、因数分解が見つからないときは解の公式を使います。

2次方程式の解の公式

ax2+bx+c=0ax^2 + bx + c = 0 の解は

x=b±b24ac2ax = \frac{-b \pm \sqrt{b^2 - 4ac}}{2a}

根号の中身 D=b24acD = b^2 - 4ac を判別式という。

D>0D > 0 … 異なる2つの実数解、 D=0D = 0 … 重解、 D<0D < 0 … 実数解なし

例題 3(解の公式)

2次方程式 2x23x1=02x^2 - 3x - 1 = 0 を解け。

解き方

a=2a = 2b=3b = -3c=1c = -1 を解の公式に代入します。

x=(3)±(3)242(1)22=3±9+84x = \frac{-(-3) \pm \sqrt{(-3)^2 - 4 \cdot 2 \cdot (-1)}}{2 \cdot 2} = \frac{3 \pm \sqrt{9 + 8}}{4}
x=3±174x = \frac{3 \pm \sqrt{17}}{4}

bbcc が負のときの符号ミスが最も多いので、代入の段階でかっこをつけて丁寧に書くのがコツです。

2次方程式は、グラフと結びつけると見通しがよくなります。ax2+bx+c=0ax^2 + bx + c = 0 の実数解は、放物線 y=ax2+bx+cy = ax^2 + bx + cxx 軸(y=0y = 0)の共有点の xx 座標そのものです。

グラフと x 軸の共有点

放物線 y=ax2+bx+cy = ax^2 + bx + cxx 軸の位置関係は、判別式 D=b24acD = b^2 - 4ac で決まる。

D>0D > 0 … 異なる2点で交わる

D=0D = 0 … 1点で接する(接点の xx 座標は重解)

D<0D < 0 … 共有点をもたない

例題 4(判別式)

放物線 y=x2+4x+my = x^2 + 4x + mxx 軸と接するとき、定数 mm の値と接点の座標を求めよ。

解き方

接するのは判別式 D=0D = 0 のときです。

D=4241m=164m=0D = 4^2 - 4 \cdot 1 \cdot m = 16 - 4m = 0

よって m=4m = 4。このとき y=x2+4x+4=(x+2)2y = x^2 + 4x + 4 = (x+2)^2 となり、接点は頂点 (2, 0)(-2, \ 0) です。

xx の係数が偶数 2b2b' のときは D/4=b2acD/4 = b'^2 - ac を使うと計算が軽くなります(ここでは D/4=4mD/4 = 4 - m)。

2次不等式

x22x3<0x^2 - 2x - 3 < 0 のような不等式が2次不等式です。解き方の本質はただ1つ、「グラフをかいて、xx 軸より下(または上)にある部分の xx の範囲を読む」ことです。式変形だけで解こうとせず、必ず放物線の絵を思い浮かべましょう。

2次不等式の解(a > 0、α < β のとき)

a(xα)(xβ)<0a(x-\alpha)(x-\beta) < 0 の解は α<x<β\alpha < x < \beta(2解の間)

a(xα)(xβ)>0a(x-\alpha)(x-\beta) > 0 の解は x<α, β<xx < \alpha, \ \beta < x(2解の外側)

「下に凸のグラフが xx 軸の下にあるのは2解の間」という図のイメージで覚える。

例題 5(2次不等式の基本)

2次不等式 x22x3<0x^2 - 2x - 3 < 0 を解け。

解き方

左辺を因数分解します。

(x+1)(x3)<0(x+1)(x-3) < 0

y=(x+1)(x3)y = (x+1)(x-3) は下に凸の放物線で、xx 軸と x=1, 3x = -1, \ 3 で交わります。グラフが xx 軸より下にあるのは2つの交点の間なので

1<x<3-1 < x < 3

不等号に等号がつく \le の場合は、交点も含めて 1x3-1 \le x \le 3 となります。

x2x^2 の係数が負のときは、両辺に 1-1 を掛けて(不等号の向きが変わります)係数を正に直してから解くと、パターンが1つで済みミスが減ります。

判別式 D<0D < 0xx 軸と共有点をもたない場合にも注意しましょう。たとえば x22x+3>0x^2 - 2x + 3 > 0 は、D=412<0D = 4 - 12 < 0 でグラフ全体が xx 軸の上にあるので、解はすべての実数です。逆に x22x+3<0x^2 - 2x + 3 < 0 の解はありません。

すべての実数 x で成り立つ条件

すべての実数 xxax2+bx+c>0ax^2 + bx + c > 0 が成り立つ条件は

a>0a > 0 かつ D=b24ac<0D = b^2 - 4ac < 0

「下に凸で、xx 軸と共有点をもたない」という図の言い換えである。

このように、2次不等式や「解の存在条件」の問題は、条件をグラフの形(凸の向き・xx 軸との共有点・軸の位置・端点の符号)に翻訳するのが定石です。式だけを見ずに、図に語らせましょう。

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