集合と要素
「10 以下の正の偶数の全体」のように、範囲がはっきりしたものの集まりを集合といい、集合に属する1つ1つのものを要素といいます。 が集合 の要素であることを 、要素でないことを と書きます。
集合の表し方は2通りあります。要素を書き並べる方法と、要素の満たす条件を書く方法です。たとえば「10 以下の正の偶数の全体」の集合 は
とも書けますし、「 は 10 以下の正の偶数」という条件を縦棒 の右に書く形式でも表せます。たとえば は「 を満たす 全体の集合」を表します。
次に、2つの集合から新しい集合を作る演算を学びます。考えている対象全体の集合を全体集合といい、ふつう で表します。
例題 1 で確認してみると、、 なので となり、確かに と一致しています。
命題と条件
「 は無理数である」のように、正しいか正しくないかがはっきり定まる文や式を命題といいます。正しい命題を真、正しくない命題を偽といいます。
文字 を含む文「」は、 の値が決まるとはじめて真偽が定まります。このような文を に関する条件といいます。2つの条件 、 について、「 ならば 」という形の命題を と書き、 を仮定、 を結論といいます。
覚え方は「矢印の出発点(根元)が十分条件、矢印の行き先(先端)が必要条件」です。集合でいえば、 のとき小さい方 の条件が十分条件、大きい方 の条件が必要条件になります。「十分条件は条件として強い(範囲がせまい)、必要条件は弱い(範囲が広い)」というイメージをもつと迷いにくくなります。
必要条件か十分条件かを判定するときは、必ず と の両方向の真偽を調べます。
逆・裏・対偶と対偶を利用した証明
条件 に対して、「 でない」という条件を の否定といい、 と書きます。命題 に対して、仮定と結論を入れかえたり否定したりして、次の3つの命題が作れます。
たとえば真の命題「」の逆「」は偽でした(反例 )。逆や裏を「当然成り立つ」と思い込むのは典型的な誤りなので注意しましょう。
なお、対偶と真偽が一致する理由は集合で考えるとわかります。 ならば、 の外にあるものは必ず の外にある、つまり が成り立つからです。
対偶ともとの命題の真偽が一致することを利用すると、直接証明しにくい命題を、対偶を証明することで示せます。結論が「〜でない」という否定の形をしているとき、対偶を作ると仮定が肯定的な使いやすい形になることが多く、特に有効です。
背理法
背理法は、「命題が成り立たないと仮定すると、矛盾が起こる。だから命題は成り立つ」という論法です。結論を直接導くのではなく、結論を否定してみて話のつじつまが合わなくなることを示します。
背理法の代表例が「 は無理数である」ことの証明です。無理数とは「有理数でない実数」のことなので、「 は有理数である」と仮定して矛盾を導きます。有理数は整数 、 を用いて分数 の形に表せる数であることを思い出しておきましょう。
対偶を利用した証明と背理法はどちらも「間接証明法」です。使い分けの目安は、命題が「 ならば 」の形なら対偶、そうでない形(「〜は無理数である」など)や、結論の否定から豊富な情報が引き出せるときは背理法、と考えるとよいでしょう。