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数学II5

指数関数・対数関数

指数の拡張、対数の性質、指数・対数の方程式と不等式を学びます。

指数の拡張と累乗根

中学までの指数 ana^n は「aann 回掛ける」という意味で、nn は正の整数に限られていました。数学IIでは、指数法則が成り立ち続けるように、指数を 00・負の整数・有理数(分数)へと広げていきます。「意味を先に決める」のではなく、「法則が壊れないように意味を決める」という発想がポイントです。

0と負の整数の指数

a0a \ne 0 で、nn が正の整数のとき

a0=1a^0 = 1an=1ana^{-n} = \dfrac{1}{a^n}

たとえば 20=12^0 = 123=123=182^{-3} = \dfrac{1}{2^3} = \dfrac{1}{8} です。こう定めると、指数法則 ar×as=ar+sa^r \times a^s = a^{r+s}23×23=20=12^3 \times 2^{-3} = 2^0 = 1 のように、すべての整数で成り立ちます。

指数法則

a>0a > 0b>0b > 0 で、rrss が有理数のとき

ar×as=ar+sa^r \times a^s = a^{r+s}

(ar)s=ars(a^r)^s = a^{rs}

(ab)r=arbr(ab)^r = a^r b^r

aras=ars\dfrac{a^r}{a^s} = a^{r-s}

次に分数の指数です。その準備として累乗根を定義します。nn 乗すると aa になる数を aann 乗根といい、a>0a > 0 のとき正の nn 乗根はただ1つで、これを an\sqrt[n]{a} と書きます。たとえば 83=2\sqrt[3]{8} = 2(23=82^3 = 8 だから)です。

これを使って、a>0a > 0 のとき

amn=amna^{\frac{m}{n}} = \sqrt[n]{a^m}

と定めます。特に a1n=ana^{\frac{1}{n}} = \sqrt[n]{a} です。こう定めると (a1n)n=ann=a\left(a^{\frac{1}{n}}\right)^n = a^{\frac{n}{n}} = a となり、指数法則 (ar)s=ars(a^r)^s = a^{rs} と矛盾しません。

例題 1(有理数の指数)

次の値を求めよ。
(1) 163416^{\frac{3}{4}}
(2) a3×a6\sqrt[3]{a} \times \sqrt[6]{a}(a>0a > 0)

解き方

(1) 16=2416 = 2^4 なので、指数法則 (ar)s=ars(a^r)^s = a^{rs} を使って

1634=(24)34=24×34=23=816^{\frac{3}{4}} = (2^4)^{\frac{3}{4}} = 2^{4 \times \frac{3}{4}} = 2^3 = 8

(2) 累乗根はすべて分数の指数に直してから、指数法則で足し算します。

a3×a6=a13×a16=a13+16=a12=a\sqrt[3]{a} \times \sqrt[6]{a} = a^{\frac{1}{3}} \times a^{\frac{1}{6}} = a^{\frac{1}{3}+\frac{1}{6}} = a^{\frac{1}{2}} = \sqrt{a}

累乗根の計算は「分数の指数に直す → 指数法則で計算 → 必要なら根号に戻す」が定石です。

指数関数のグラフと方程式・不等式

a>0a > 0a1a \ne 1 のとき、y=axy = a^xaa を底とする指数関数といいます。指数を実数まで広げたことで、xx にどんな実数を入れてもよい「なめらかな曲線」のグラフが描けます。

指数関数 $y = a^x$ の性質

1. 定義域はすべての実数、値域は y>0y > 0(グラフは必ず xx 軸より上)
2. グラフは必ず点 (0,1)(0, 1) を通り、xx 軸が漸近線
3. a>1a > 1 のとき増加関数: p<q    ap<aqp < q \iff a^p < a^q
4. 0<a<10 < a < 1 のとき減少関数: p<q    ap>aqp < q \iff a^p > a^q(大小が逆転!)

この「増加か減少か」が、指数の方程式・不等式を解く鍵です。方程式は底をそろえて指数を比較し、不等式は底をそろえたうえで、底が 11 より大きいか小さいかで不等号の向きを決めます。

例題 2(指数方程式・不等式)

次の方程式・不等式を解け。
(1) 8x=4x+18^x = 4^{x+1}
(2) (13)x9\left(\dfrac{1}{3}\right)^x \ge 9

解き方

(1) 底を 22 にそろえます。8=238 = 2^34=224 = 2^2 なので

23x=22(x+1)2^{3x} = 2^{2(x+1)}

y=2xy = 2^x は増加関数だから、指数どうしが等しく

3x=2x+2したがってx=23x = 2x + 2 \quad したがって \quad x = 2

(2) 底を 33 にそろえます。(13)x=3x\left(\dfrac{1}{3}\right)^x = 3^{-x}9=329 = 3^2 なので

3x323^{-x} \ge 3^2

3311 より大きいので、不等号の向きはそのまま指数に移せて

x2したがってx2-x \ge 2 \quad したがって \quad x \le -2

(2) は 13\dfrac{1}{3} を底のままにして解くこともできますが、その場合は底が 11 より小さいので不等号の向きが逆になります。どちらの解き方でも、必ず「底と 11 の大小」を確認してから指数を比較しましょう。

4x4^x2x2^x が混ざった式では、2x=t2^x = t とおくと 4x=(22)x=(2x)2=t24^x = (2^2)^x = (2^x)^2 = t^2 となり、tt の2次方程式・2次不等式に帰着できます。このとき t=2x>0t = 2^x > 0 という条件を忘れないことが重要です(練習問題で扱います)。

対数とその性質

22 を何乗したら 88 になるか?」の答えは 33 です。このように「aa を何乗したら MM になるか」を表す数を対数といいます。

対数の定義

a>0a > 0a1a \ne 1M>0M > 0 のとき

ap=M    p=logaMa^p = M \iff p = \log_a M

logaM\log_a M を、aa を底とする MM の対数といい、MM を真数といいます。真数は必ず正(M>0M > 0、真数条件)です。

定義からただちに logaa=1\log_a a = 1loga1=0\log_a 1 = 0 が成り立ちます。

対数は指数の言い換えなので、指数法則を対数の言葉に翻訳すると、次の性質が得られます。たとえば ap=Ma^p = Maq=Na^q = N なら MN=ap+qMN = a^{p+q} なので、「積の対数は対数の和」になります。

対数の性質

a>0a > 0a1a \ne 1M>0M > 0N>0N > 0kk が実数のとき

logaMN=logaM+logaN\log_a MN = \log_a M + \log_a N

logaMN=logaMlogaN\log_a \dfrac{M}{N} = \log_a M - \log_a N

logaMk=klogaM\log_a M^k = k \log_a M

例題 3(対数の計算)

log64+log69\log_6 4 + \log_6 9 の値を求めよ。

解き方

積の対数の性質で1つの対数にまとめます。

log64+log69=log6(4×9)=log636\log_6 4 + \log_6 9 = \log_6 (4 \times 9) = \log_6 36

36=6236 = 6^2 なので

log636=log662=2\log_6 36 = \log_6 6^2 = 2

バラバラの対数は「まとめると簡単な数にならないか?」と考えるのが計算のコツです。

底の変換公式

aabbcc が正の数で、a1a \ne 1c1c \ne 1 のとき

logab=logcblogca\log_a b = \frac{\log_c b}{\log_c a}

底の異なる対数が混ざった計算では、この公式で底を1つにそろえます。

例題 4(底の変換)

log48\log_4 8 の値を求めよ。

解き方

底を 22 に変換します。

log48=log28log24=log223log222=32\log_4 8 = \frac{\log_2 8}{\log_2 4} = \frac{\log_2 2^3}{\log_2 2^2} = \frac{3}{2}

検算: 432=(22)32=23=84^{\frac{3}{2}} = (2^2)^{\frac{3}{2}} = 2^3 = 8 となり、確かに 4432\dfrac{3}{2} 乗が 88 です。

対数関数と常用対数

a>0a > 0a1a \ne 1 のとき、y=logaxy = \log_a x を対数関数といいます。y=logax    x=ayy = \log_a x \iff x = a^y なので、対数関数は指数関数 y=axy = a^x の逆の対応で、グラフは直線 y=xy = x に関して指数関数のグラフと対称になります。

対数関数 $y = \log_a x$ の性質

1. 定義域は x>0x > 0(真数条件)、値域はすべての実数
2. グラフは必ず点 (1,0)(1, 0) を通り、yy 軸が漸近線
3. a>1a > 1 のとき増加関数: 0<p<q    logap<logaq0 < p < q \iff \log_a p < \log_a q
4. 0<a<10 < a < 1 のとき減少関数: 0<p<q    logap>logaq0 < p < q \iff \log_a p > \log_a q

例題 5(対数方程式・不等式)

次の方程式・不等式を解け。
(1) log3(x+2)=2\log_3 (x+2) = 2
(2) log2x<3\log_2 x < 3

解き方

(1) まず真数条件: x+2>0x + 2 > 0 すなわち x>2x > -2

対数の定義から、log3(x+2)=2\log_3 (x+2) = 2x+2=32x + 2 = 3^2 と同じことなので

x+2=9したがってx=7x + 2 = 9 \quad したがって \quad x = 7

これは x>2x > -2 を満たすので、解は x=7x = 7

(2) まず真数条件: x>0x > 0

3=log223=log283 = \log_2 2^3 = \log_2 8 と直すと、不等式は log2x<log28\log_2 x < \log_2 8。底 2211 より大きく増加関数なので、真数の大小がそのまま成り立ち x<8x < 8

真数条件と合わせて

0<x<80 < x < 8

対数の方程式・不等式では、最初に必ず真数条件を書き出すこと。(2) で答えを x<8x < 8 としてしまうのが最も多いミスです。

底が 1010 の対数 log10N\log_{10} N を常用対数といいます。常用対数の威力は、2502^{50} のような巨大な数の「桁数」を、実際に計算せずに求められることです。

桁数の判定

正の整数 NN について

NNnn    10n1N<10n    n1log10N<n\iff 10^{n-1} \le N < 10^n \iff n-1 \le \log_{10} N < n

つまり、log10N\log_{10} N の整数部分が n1n-1 なら、NNnn 桁です。

例題 6(桁数)

3203^{20} は何桁の整数か。ただし log103=0.4771\log_{10} 3 = 0.4771 とする。

解き方

3203^{20} の常用対数をとります。logaMk=klogaM\log_a M^k = k \log_a M より

log10320=20log103=20×0.4771=9.542\log_{10} 3^{20} = 20 \log_{10} 3 = 20 \times 0.4771 = 9.542

99.542<109 \le 9.542 < 10 なので

109320<101010^9 \le 3^{20} < 10^{10}

したがって 3203^{20} は 10桁 の整数です。

log10N\log_{10} N の整数部分 +1+1 が桁数」と覚えておくと速く処理できます。

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