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数学III2

微分法

積・商・合成関数の微分、いろいろな関数の導関数と応用を学びます。

微分法の基本(積・商・合成関数の微分)

数学IIでは xnx^n(nn は自然数)の微分を学びましたが、数学IIIでは扱える関数の範囲が一気に広がります。その土台となるのが、積・商・合成関数の微分法です。関数 f(x)f(x) の導関数は、定義式

f(x)=limh0f(x+h)f(x)hf'(x) = \lim_{h \to 0} \frac{f(x+h) - f(x)}{h}

で与えられるのでした。この定義から、次の重要な公式が導かれます。

積・商の微分法

f(x)f(x)g(x)g(x) が微分可能のとき

{f(x)g(x)}=f(x)g(x)+f(x)g(x)\{f(x)g(x)\}' = f'(x)g(x) + f(x)g'(x)

{f(x)g(x)}=f(x)g(x)f(x)g(x){g(x)}2\left\{ \dfrac{f(x)}{g(x)} \right\}' = \dfrac{f'(x)g(x) - f(x)g'(x)}{\{g(x)\}^2}

特に {1g(x)}=g(x){g(x)}2\left\{ \dfrac{1}{g(x)} \right\}' = -\dfrac{g'(x)}{\{g(x)\}^2}

積の微分は「前を微分 × 後ろそのまま + 前そのまま × 後ろを微分」、商の微分は「分子は(分子の微分 × 分母 − 分子 × 分母の微分)、分母は2乗」と口に出して覚えましょう。商の公式は分子の引き算の順序を逆にするミスが非常に多いので注意が必要です。

例題 1(積と商の微分)

次の関数を微分せよ。
(1) y=(x2+2)(3x1)y = (x^2+2)(3x-1)
(2) y=x1x2+2y = \dfrac{x-1}{x^2+2}

解き方

(1) 積の微分法で

y=(x2+2)(3x1)+(x2+2)(3x1)=2x(3x1)+(x2+2)3y' = (x^2+2)'(3x-1) + (x^2+2)(3x-1)' = 2x(3x-1) + (x^2+2) \cdot 3
=6x22x+3x2+6=9x22x+6= 6x^2 - 2x + 3x^2 + 6 = 9x^2 - 2x + 6

(2) 商の微分法で

y=(x1)(x2+2)(x1)(x2+2)(x2+2)2=(x2+2)(x1)2x(x2+2)2y' = \frac{(x-1)'(x^2+2) - (x-1)(x^2+2)'}{(x^2+2)^2} = \frac{(x^2+2) - (x-1) \cdot 2x}{(x^2+2)^2}

分子を整理して

y=x2+22x2+2x(x2+2)2=x2+2x+2(x2+2)2y' = \frac{x^2 + 2 - 2x^2 + 2x}{(x^2+2)^2} = \frac{-x^2 + 2x + 2}{(x^2+2)^2}

合成関数の微分法

y=f(u)y = f(u)u=g(x)u = g(x) がともに微分可能のとき

dydx=dydududx\frac{dy}{dx} = \frac{dy}{du} \cdot \frac{du}{dx}

つまり {f(g(x))}=f(g(x))g(x)\{f(g(x))\}' = f'(g(x)) \cdot g'(x)。「外側の関数を微分してから、中身の微分を掛ける」と覚えます。

例題 2(合成関数の微分)

y=(x2+3x)4y = (x^2+3x)^4 を微分せよ。

解き方

u=x2+3xu = x^2 + 3x とおくと y=u4y = u^4 です。合成関数の微分法で

dydx=dydududx=4u3(2x+3)\frac{dy}{dx} = \frac{dy}{du} \cdot \frac{du}{dx} = 4u^3 \cdot (2x+3)

uu を元に戻して

y=4(x2+3x)3(2x+3)y' = 4(x^2+3x)^3(2x+3)

慣れてきたら、おき換えを書かずに「外側を微分 × 中身の微分」と一気に計算できるようにしましょう。

合成関数の微分法を使うと、指数が有理数(さらに実数)の場合にも xnx^n の微分公式を拡張できます。

(xα)=αxα1(x^{\alpha})' = \alpha x^{\alpha - 1}

(α\alpha は実数)たとえば y=x23=x23y = \sqrt[3]{x^2} = x^{\frac{2}{3}} なら y=23x13=23x3y' = \dfrac{2}{3}x^{-\frac{1}{3}} = \dfrac{2}{3\sqrt[3]{x}} となります。根号を含む関数は、まず指数の形に直してから微分するのが定石です。

いろいろな関数の導関数

三角関数・指数関数・対数関数の導関数を学びます。これらは極限の公式 limx0sinxx=1\displaystyle\lim_{x \to 0}\frac{\sin x}{x} = 1limh0eh1h=1\displaystyle\lim_{h \to 0}\frac{e^h - 1}{h} = 1 から導かれます。なお、数学IIIでは底を書かない logx\log x は自然対数(底が ee の対数)を表します。

三角関数の導関数

(sinx)=cosx(\sin x)' = \cos x

(cosx)=sinx(\cos x)' = -\sin x

(tanx)=1cos2x(\tan x)' = \dfrac{1}{\cos^2 x}

cos\cos の微分にだけマイナスがつくことに注意しましょう。

指数関数・対数関数の導関数

(ex)=ex(e^x)' = e^x

(ax)=axloga(a>0, a1)(a^x)' = a^x \log a \quad (a > 0,\ a \ne 1)

(logx)=1x(\log x)' = \dfrac{1}{x}(logx)=1x(\log |x|)' = \dfrac{1}{x}

(logax)=1xloga(\log_a x)' = \dfrac{1}{x \log a}

exe^x は「微分しても形が変わらない」特別な関数です。

例題 3(合成関数との組合せ)

y=sin2xy = \sin^2 x を微分せよ。

解き方

y=(sinx)2y = (\sin x)^2 とみて、外側の「2乗」を微分してから中身 sinx\sin x の微分を掛けます。

y=2sinx(sinx)=2sinxcosxy' = 2\sin x \cdot (\sin x)' = 2\sin x \cos x

2倍角の公式を使えば y=sin2xy' = \sin 2x とも書けます。三角・指数・対数の微分は、ほとんどの場合こうして合成関数の微分法とセットで使います。

両辺の対数をとってから微分する方法を対数微分法といいます。積・商・累乗が入り組んだ関数や、xxx^x のように「底にも指数にも変数がある」関数に有効です。たとえば (ax)=axloga(a^x)' = a^x \log a は次のように導けます。y=axy = a^x(y>0y > 0)の両辺の自然対数をとると

logy=xloga\log y = x \log a

両辺を xx で微分します。左辺は合成関数の微分法で yy\dfrac{y'}{y} となるので

yy=loga,y=yloga=axloga\frac{y'}{y} = \log a \quad \text{,} \quad y' = y \log a = a^x \log a

対数微分法の手順

1. 両辺の絶対値の自然対数をとる(logy=\log |y| = \cdots)
2. 対数の性質で積・商・累乗をばらす
3. 両辺を xx で微分する(左辺は yy\dfrac{y'}{y} になる)
4. 両辺に yy を掛けて、yy を元の式に戻す

接線と法線、平均値の定理

微分係数 f(a)f'(a) は、曲線 y=f(x)y = f(x) 上の点 (a, f(a))(a,\ f(a)) における接線の傾きを表すのでした。接点を通り、接線と垂直に交わる直線を法線といいます。垂直な2直線の傾きの積は 1-1 なので、法線の傾きは 1f(a)-\dfrac{1}{f'(a)} です。

接線と法線の方程式

曲線 y=f(x)y = f(x) 上の点 (a, f(a))(a,\ f(a)) における

接線: y=f(a)(xa)+f(a)y = f'(a)(x - a) + f(a)

法線: y=1f(a)(xa)+f(a)(f(a)0)y = -\dfrac{1}{f'(a)}(x - a) + f(a) \quad (f'(a) \ne 0)

例題 4(接線と法線)

曲線 y=sinxy = \sin x 上の点 (π3, 32)\left(\dfrac{\pi}{3},\ \dfrac{\sqrt{3}}{2}\right) における接線と法線の方程式を求めよ。

解き方

y=cosxy' = \cos x なので、接線の傾きは

cosπ3=12\cos\frac{\pi}{3} = \frac{1}{2}

接線の方程式は

y=12(xπ3)+32=12xπ6+32y = \frac{1}{2}\left(x - \frac{\pi}{3}\right) + \frac{\sqrt{3}}{2} = \frac{1}{2}x - \frac{\pi}{6} + \frac{\sqrt{3}}{2}

法線の傾きは 11/2=2-\dfrac{1}{1/2} = -2 なので、法線の方程式は

y=2(xπ3)+32=2x+2π3+32y = -2\left(x - \frac{\pi}{3}\right) + \frac{\sqrt{3}}{2} = -2x + \frac{2\pi}{3} + \frac{\sqrt{3}}{2}

曲線の外の点から引いた接線を求めるときは、接点の xx 座標を tt とおいて接線の方程式を立て、それが与えられた点を通る条件から tt を決めます。「接線の問題は接点をおく」が鉄則です。

平均値の定理

関数 f(x)f(x) が閉区間 [a, b][a,\ b] で連続、開区間 (a, b)(a,\ b) で微分可能ならば

f(b)f(a)ba=f(c)(a<c<b)\frac{f(b) - f(a)}{b - a} = f'(c) \quad (a < c < b)

を満たす実数 cc が少なくとも1つ存在する。

左辺は2点 (a,f(a))(a, f(a))(b,f(b))(b, f(b)) を結ぶ直線の傾きです。「区間のどこかに、平均の傾きと同じ傾きの接線が引ける点がある」という主張で、不等式の証明や極限の評価に使われます。

例題 5(平均値の定理)

f(x)=x2f(x) = x^2、区間 [1, 3][1,\ 3] について、平均値の定理を満たす cc の値を求めよ。

解き方

f(x)=x2f(x) = x^2 は閉区間 [1,3][1, 3] で連続、開区間 (1,3)(1, 3) で微分可能なので、平均値の定理が使えます。平均の傾きは

f(3)f(1)31=912=4\frac{f(3) - f(1)}{3 - 1} = \frac{9 - 1}{2} = 4

f(x)=2xf'(x) = 2x なので、f(c)=4f'(c) = 4 より

2c=4,c=22c = 4 \quad \text{,} \quad c = 2

1<2<31 < 2 < 3 を満たすので、c=2c = 2 です。

関数の増減・極値、グラフの凹凸と変曲点

導関数の符号を調べると、関数の増減がわかります。ある区間で常に f(x)>0f'(x) > 0 ならその区間で f(x)f(x) は増加、常に f(x)<0f'(x) < 0 なら減少します。増加から減少に切り替わる点の値が極大値、減少から増加に切り替わる点の値が極小値です。

極値の判定

f(x)f(x)x=ax = a で極値をとるならば f(a)=0f'(a) = 0

ただし逆は成り立ちません。f(a)=0f'(a) = 0 でも、x=ax = a の前後で f(x)f'(x) の符号が変わらなければ極値ではありません(y=x3y = x^3x=0x = 0 が代表例)。極値かどうかは、必ず増減表で符号の変化を確認します。

さらに第2次導関数 f(x)f''(x) を調べると、グラフの曲がり方(凹凸)がわかります。

凹凸と変曲点

ある区間で f(x)>0f''(x) > 0 ならグラフは下に凸、f(x)<0f''(x) < 0 なら上に凸。

f(x)f''(x) の符号が変わる点を変曲点という。

また、f(a)=0f'(a) = 0 のとき、f(a)>0f''(a) > 0 なら f(a)f(a) は極小値、f(a)<0f''(a) < 0 なら f(a)f(a) は極大値(第2次導関数による極値の判定)。

例題 6(増減・凹凸の調査)

関数 y=ex2y = e^{-x^2} の極値と変曲点を求めよ。

解き方

合成関数の微分法で

y=ex2(2x)=2xex2y' = e^{-x^2} \cdot (-2x) = -2x e^{-x^2}

ex2>0e^{-x^2} > 0 なので、yy' の符号は 2x-2x の符号と一致します。x<0x < 0y>0y' > 0(増加)、x>0x > 0y<0y' < 0(減少)なので、x=0x = 0 で極大値 y=e0=1y = e^0 = 1 をとります。極小値はありません。

次に第2次導関数を計算します。積の微分法で

y=2ex2+(2x)(2x)ex2=(4x22)ex2=2(2x21)ex2y'' = -2 e^{-x^2} + (-2x)(-2x)e^{-x^2} = (4x^2 - 2)e^{-x^2} = 2(2x^2 - 1)e^{-x^2}

y=0y'' = 0 となるのは x=±12x = \pm\dfrac{1}{\sqrt{2}} のときで、その前後で yy'' の符号が変わるので、変曲点は

(12, 1e),(12, 1e)\left(-\frac{1}{\sqrt{2}},\ \frac{1}{\sqrt{e}}\right), \quad \left(\frac{1}{\sqrt{2}},\ \frac{1}{\sqrt{e}}\right)

増減と凹凸を1つの表(増減凹凸表)にまとめてからグラフをかくと、釣り鐘型の滑らかな曲線が正確にかけます。

数学IIIのグラフの問題では、増減・凹凸に加えて、x±x \to \pm\infty での極限(漸近線)や定義域の端での様子も調べて、グラフの全体像をつかむことが大切です。

最大・最小、方程式・不等式への応用

閉区間における連続関数の最大値・最小値は、区間内の極値と区間の端の値をすべて求めて比較すれば見つかります。「最大・最小の候補は、極値と端点」と覚えましょう。

例題 7(最大・最小)

関数 y=x+4x2y = x + \sqrt{4 - x^2} の最大値と最小値を求めよ。

解き方

定義域は 4x204 - x^2 \ge 0 より 2x2-2 \le x \le 2 です。微分すると

y=1+2x24x2=1x4x2y' = 1 + \frac{-2x}{2\sqrt{4 - x^2}} = 1 - \frac{x}{\sqrt{4 - x^2}}

y=0y' = 0 とすると 4x2=x\sqrt{4 - x^2} = x。左辺は 00 以上なので x0x \ge 0 が必要で、両辺を2乗して

4x2=x2,x2=2,x=24 - x^2 = x^2 \quad \text{,} \quad x^2 = 2 \quad \text{,} \quad x = \sqrt{2}

0x<20 \le x < \sqrt{2}y>0y' > 02<x<2\sqrt{2} < x < 2y<0y' < 0 なので、x=2x = \sqrt{2} で極大です。極値と端点の値を比較すると

y(2)=2+2=22,y(2)=2,y(2)=2y(\sqrt{2}) = \sqrt{2} + \sqrt{2} = 2\sqrt{2}, \quad y(2) = 2, \quad y(-2) = -2

よって、最大値は 222\sqrt{2}(x=2x = \sqrt{2} のとき)、最小値は 2-2(x=2x = -2 のとき)です。

方程式・不等式への応用

方程式 f(x)=af(x) = a の実数解の個数は、曲線 y=f(x)y = f(x) と直線 y=ay = a の共有点の個数に等しい。y=f(x)y = f(x) のグラフをかき、水平線 y=ay = a を上下に動かして交点を数える。

不等式 A>BA > B の証明は、f(x)=ABf(x) = A - B とおいて増減を調べ、考えている範囲で f(x)>0f(x) > 0(たとえば最小値が正、または単調増加で端の値が 00 以上)を示す。

例題 8(不等式の証明)

x>0x > 0 のとき、不等式 log(1+x)<x\log(1+x) < x が成り立つことを証明せよ。

解き方

f(x)=xlog(1+x)f(x) = x - \log(1+x) とおきます。x>0x > 0

f(x)=111+x=x1+x>0f'(x) = 1 - \frac{1}{1+x} = \frac{x}{1+x} > 0

なので、f(x)f(x)x0x \ge 0 で単調に増加します。さらに f(0)=0log1=0f(0) = 0 - \log 1 = 0 だから、x>0x > 0 のとき

f(x)>f(0)=0f(x) > f(0) = 0

すなわち xlog(1+x)>0x - \log(1+x) > 0 となり、log(1+x)<x\log(1+x) < x が成り立ちます。(証明終)

「差をとって関数を作り、微分して増減を調べる」のが不等式証明の基本手順です。出発点となる f(0)=0f(0) = 0 の確認を忘れないようにしましょう。

文字定数 aa を含む方程式では、aa を分離して「定数 = xx だけの式」の形に直してからグラフを利用する方法(定数分離)が強力です。グラフの増減だけでなく、x±x \to \pm\infty での極限まで調べて、グラフの端がどこへ向かうかを確認するのがポイントです。

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