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数学III1

極限

数列と関数の極限、無限級数、はさみうちの原理を学びます。

数列の極限

数列 {an}\{a_n\} において、nn を限りなく大きくしたとき ana_n が一定の値 α\alpha に限りなく近づくならば、数列 {an}\{a_n\}α\alpha に収束するといい、

limnan=α\lim_{n \to \infty} a_n = \alpha

と書きます。たとえば an=1na_n = \dfrac{1}{n} なら、nn が大きくなるにつれて 1,12,13,1, \dfrac{1}{2}, \dfrac{1}{3}, \dots00 に近づくので limn1n=0\lim_{n \to \infty} \dfrac{1}{n} = 0 です。

収束しない数列は発散するといいます。発散には、an=n2a_n = n^2 のように限りなく大きくなる「正の無限大に発散(limnan=\lim_{n \to \infty} a_n = \infty)」、an=na_n = -n のような「負の無限大に発散」、an=(1)na_n = (-1)^n のようにどの値にも近づかない「振動」の3種類があります。

極限の性質

limnan=α\lim_{n \to \infty} a_n = \alphalimnbn=β\lim_{n \to \infty} b_n = \beta(いずれも収束)のとき

limn(an+bn)=α+β\lim_{n \to \infty} (a_n + b_n) = \alpha + \betalimn(anbn)=αβ\lim_{n \to \infty} (a_n - b_n) = \alpha - \beta

limnkan=kα\lim_{n \to \infty} k a_n = k\alpha(kk は定数)、 limnanbn=αβ\lim_{n \to \infty} a_n b_n = \alpha\beta

limnanbn=αβ\lim_{n \to \infty} \dfrac{a_n}{b_n} = \dfrac{\alpha}{\beta}(ただし β0\beta \ne 0)

これらの性質は「両方の数列が収束する」ときにだけ使えます。\infty - \infty\dfrac{\infty}{\infty} の形は、このままでは値が定まらない(不定形)ので、式を変形してから極限をとります。

例題 1(不定形の処理)

極限 limn2n21n2+3n\lim_{n \to \infty} \dfrac{2n^2 - 1}{n^2 + 3n} を求めよ。

解き方

分母・分子とも \infty に発散する \dfrac{\infty}{\infty} の不定形です。分母の最高次の項 n2n^2 で分母・分子を割ります。

2n21n2+3n=21n21+3n\frac{2n^2 - 1}{n^2 + 3n} = \frac{2 - \dfrac{1}{n^2}}{1 + \dfrac{3}{n}}

nn \to \infty のとき 1n20\dfrac{1}{n^2} \to 03n0\dfrac{3}{n} \to 0 なので

limn2n21n2+3n=201+0=2\lim_{n \to \infty} \frac{2n^2 - 1}{n^2 + 3n} = \frac{2 - 0}{1 + 0} = 2

「分母の最高次の項で割る」のが \dfrac{\infty}{\infty} 型の定石です。

はさみうちの原理

すべての nn について anbncna_n \le b_n \le c_n が成り立ち、

limnan=limncn=α\lim_{n \to \infty} a_n = \lim_{n \to \infty} c_n = \alpha

ならば、limnbn=α\lim_{n \to \infty} b_n = \alpha である。

直接極限が求めにくい数列を、極限のわかる2つの数列で「はさむ」ことで極限を確定させる、とても強力な定理です。sin\sincos\cos(1)n(-1)^n を含む数列で活躍します。

例題 2(はさみうちの原理)

極限 limn1nsinnπ2\lim_{n \to \infty} \dfrac{1}{n} \sin \dfrac{n\pi}{2} を求めよ。

解き方

sinnπ2\sin \dfrac{n\pi}{2}1,0,1,0,1, 0, -1, 0, \dots と振動して収束しませんが、値は必ず 1-1 以上 11 以下です。

1sinnπ21-1 \le \sin \frac{n\pi}{2} \le 1

各辺に 1n>0\dfrac{1}{n} > 0 を掛けると

1n1nsinnπ21n-\frac{1}{n} \le \frac{1}{n} \sin \frac{n\pi}{2} \le \frac{1}{n}

limn(1n)=0\lim_{n \to \infty} \left(-\dfrac{1}{n}\right) = 0limn1n=0\lim_{n \to \infty} \dfrac{1}{n} = 0 なので、はさみうちの原理により

limn1nsinnπ2=0\lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} \sin \frac{n\pi}{2} = 0

「振動する部分は有界(値が一定の範囲におさまる)」という点に注目して、両側からはさむのがコツです。

無限等比数列と無限級数

公比 rr の無限等比数列 {rn}\{r^n\} の極限は、rr の値によって様子がまったく変わります。たとえば r=12r = \dfrac{1}{2} なら 12,14,18,\dfrac{1}{2}, \dfrac{1}{4}, \dfrac{1}{8}, \dots00 に近づき、r=2r = 2 なら 2,4,8,2, 4, 8, \dots と限りなく大きくなります。

数列 {rⁿ} の極限

r>1r > 1 のとき limnrn=\lim_{n \to \infty} r^n = \infty(発散)

r=1r = 1 のとき limnrn=1\lim_{n \to \infty} r^n = 1(収束)

r<1|r| < 1 のとき limnrn=0\lim_{n \to \infty} r^n = 0(収束)

r1r \le -1 のとき 振動して発散

つまり {rn}\{r^n\} が収束する条件は 1<r1-1 < r \le 1 です。r=1r = 1 が含まれ、r=1r = -1 が含まれないことに注意しましょう。

数列 {an}\{a_n\} の項を限りなく足した式

n=1an=a1+a2+a3+\sum_{n=1}^{\infty} a_n = a_1 + a_2 + a_3 + \cdots

を無限級数といいます。無限級数の値は、初項から第 nn 項までの和(部分和)Sn=a1+a2++anS_n = a_1 + a_2 + \cdots + a_n を考え、その数列 {Sn}\{S_n\} の極限として定義します。{Sn}\{S_n\}SS に収束するとき、この無限級数は SS に収束するといいます。

特に、初項 aa、公比 rr の等比数列から作られる無限級数を無限等比級数といいます。

無限等比級数の収束条件と和

無限等比級数 a+ar+ar2+a + ar + ar^2 + \cdots

a=0a = 0 のとき、または r<1|r| < 1 のとき収束し、その和は

n=1arn1=a1r(a0r<1)\sum_{n=1}^{\infty} ar^{n-1} = \frac{a}{1-r} \quad (a \ne 0 \text{, } |r|<1)

a0a \ne 0 かつ r1|r| \ge 1 のときは発散する。

部分和 Sn=a(1rn)1rS_n = \dfrac{a(1-r^n)}{1-r} において、r<1|r|<1 なら rn0r^n \to 0 となることから導かれます。

例題 3(無限等比級数の和)

無限等比級数 3+34+316+3 + \dfrac{3}{4} + \dfrac{3}{16} + \cdots の和を求めよ。

解き方

初項 a=3a = 3、公比 r=14r = \dfrac{1}{4} の無限等比級数です。r=14<1|r| = \dfrac{1}{4} < 1 なので収束し、和の公式より

S=a1r=3114=334=4S = \frac{a}{1-r} = \frac{3}{1 - \dfrac{1}{4}} = \frac{3}{\dfrac{3}{4}} = 4

和を求める前に、必ず r<1|r| < 1 を確認する習慣をつけましょう。

例題 4(循環小数)

循環小数 0.2˙7˙=0.2727270.\dot{2}\dot{7} = 0.272727\cdots を分数で表せ。

解き方

循環小数は無限等比級数として表せます。

0.272727=0.27+0.0027+0.000027+0.272727\cdots = 0.27 + 0.0027 + 0.000027 + \cdots

これは初項 a=0.27a = 0.27、公比 r=0.01r = 0.01 の無限等比級数で、r<1|r| < 1 なので収束します。

0.2˙7˙=0.2710.01=0.270.99=2799=3110.\dot{2}\dot{7} = \frac{0.27}{1 - 0.01} = \frac{0.27}{0.99} = \frac{27}{99} = \frac{3}{11}

検算として 3÷11=0.27273 \div 11 = 0.2727\cdots を確かめられます。

無限級数 n=1an\sum_{n=1}^{\infty} a_n が収束するならば、必ず limnan=0\lim_{n \to \infty} a_n = 0 が成り立ちます。この対偶を使うと、「limnan0\lim_{n \to \infty} a_n \ne 0 ならば級数は発散する」と判定できます。ただし逆は成り立ちません。an0a_n \to 0 でも級数が発散する例(n=11n\sum_{n=1}^{\infty} \dfrac{1}{n} など)があるので注意しましょう。

関数の極限

関数 f(x)f(x) において、xxaa と異なる値をとりながら aa に限りなく近づくとき、f(x)f(x) が一定の値 α\alpha に限りなく近づくならば

limxaf(x)=α\lim_{x \to a} f(x) = \alpha

と書きます。大切なのは、x=ax = a での値 f(a)f(a) そのものではなく、「aa に近づいたときの行き先」を見ている点です。f(a)f(a) が定義されていなくても極限は存在しえます。

00\dfrac{0}{0} の不定形になるときは、因数分解して約分する、または有理化するのが定石です。

例題 5(0/0 型の極限)

極限 limx3x2x6x3\lim_{x \to 3} \dfrac{x^2 - x - 6}{x - 3} を求めよ。

解き方

x=3x = 3 を代入すると分母・分子とも 00 になる 00\dfrac{0}{0} の不定形です。分子を因数分解します。

x2x6x3=(x3)(x+2)x3\frac{x^2 - x - 6}{x - 3} = \frac{(x-3)(x+2)}{x-3}

x3x \to 3 では x3x \ne 3、すなわち x30x - 3 \ne 0 なので約分できて

limx3x2x6x3=limx3(x+2)=5\lim_{x \to 3} \frac{x^2 - x - 6}{x - 3} = \lim_{x \to 3} (x+2) = 5

x3x \to 3 のとき x3x \ne 3 だから約分してよい」という理屈をおさえておきましょう。

片側極限と極限の存在

xxaa より大きい側から近づくときの極限を右側極限 limxa+0f(x)\lim_{x \to a+0} f(x)、小さい側から近づくときの極限を左側極限 limxa0f(x)\lim_{x \to a-0} f(x) といいます。

limxaf(x)=α    limxa+0f(x)=limxa0f(x)=α\lim_{x \to a} f(x) = \alpha \iff \lim_{x \to a+0} f(x) = \lim_{x \to a-0} f(x) = \alpha

右側極限と左側極限が一致しないとき、limxaf(x)\lim_{x \to a} f(x) は存在しません。絶対値やガウス記号を含む関数では、左右で式の形が変わるので片側極限を別々に調べます。

xx \to \inftyxx \to -\infty の極限も、数列のときと同じ考え方で扱います。\dfrac{\infty}{\infty} 型は分母の最高次の項で割り、\infty - \infty 型(特に x\sqrt{\phantom{x}} を含むもの)は有理化して形を変えます。

例題 6(∞−∞ 型は有理化)

極限 limx(x2+2xx)\lim_{x \to \infty} \left( \sqrt{x^2 + 2x} - x \right) を求めよ。

解き方

\infty - \infty の不定形です。x2+2x+x\sqrt{x^2+2x} + x を分母・分子に掛けて有理化します。

x2+2xx=(x2+2xx)(x2+2x+x)x2+2x+x=(x2+2x)x2x2+2x+x=2xx2+2x+x\sqrt{x^2+2x} - x = \frac{(\sqrt{x^2+2x} - x)(\sqrt{x^2+2x} + x)}{\sqrt{x^2+2x} + x} = \frac{(x^2+2x) - x^2}{\sqrt{x^2+2x} + x} = \frac{2x}{\sqrt{x^2+2x} + x}

分母・分子を xx(x>0x > 0 なので x=x2x = \sqrt{x^2})で割ると

21+2x+1\frac{2}{\sqrt{1 + \dfrac{2}{x}} + 1}

xx \to \infty のとき 2x0\dfrac{2}{x} \to 0 なので

limx(x2+2xx)=21+1=1\lim_{x \to \infty} \left( \sqrt{x^2 + 2x} - x \right) = \frac{2}{\sqrt{1} + 1} = 1

根号を含む \infty - \infty 型は「まず有理化」と覚えておきましょう。

三角関数の極限と関数の連続性

三角関数の極限で最も重要なのが、次の公式です。角の単位が弧度法(ラジアン)であることが前提です。この公式は、扇形の面積(または弧の長さ)を使って cosxsinxx1\cos x \le \dfrac{\sin x}{x} \le 1 のようにはさみうちの原理で証明されます。

三角関数の極限の基本公式

limx0sinxx=1\lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{x} = 1

これから次の形もすぐに導けます。

limx0xsinx=1,limx0tanxx=1,limx01cosxx2=12\lim_{x \to 0} \frac{x}{\sin x} = 1 \text{,} \quad \lim_{x \to 0} \frac{\tan x}{x} = 1 \text{,} \quad \lim_{x \to 0} \frac{1 - \cos x}{x^2} = \frac{1}{2}

sin\dfrac{\sin \bigcirc}{\bigcirc} の「\bigcirc の部分をそろえる」のが使い方の基本です。

例題 7(sin x / x の利用)

極限 limx0sin2xsin3x\lim_{x \to 0} \dfrac{\sin 2x}{\sin 3x} を求めよ。

解き方

sin\dfrac{\sin \bigcirc}{\bigcirc} の形を作るため、sin2x2x\dfrac{\sin 2x}{2x}3xsin3x\dfrac{3x}{\sin 3x} が現れるように変形します。

sin2xsin3x=sin2x2x3xsin3x2x3x=sin2x2x3xsin3x23\frac{\sin 2x}{\sin 3x} = \frac{\sin 2x}{2x} \cdot \frac{3x}{\sin 3x} \cdot \frac{2x}{3x} = \frac{\sin 2x}{2x} \cdot \frac{3x}{\sin 3x} \cdot \frac{2}{3}

x0x \to 0 のとき 2x02x \to 03x03x \to 0 なので、sin2x2x1\dfrac{\sin 2x}{2x} \to 13xsin3x1\dfrac{3x}{\sin 3x} \to 1。よって

limx0sin2xsin3x=1123=23\lim_{x \to 0} \frac{\sin 2x}{\sin 3x} = 1 \cdot 1 \cdot \frac{2}{3} = \frac{2}{3}

答えが「sin\sin の中身の係数の比」になることも覚えておくと検算に使えます。

関数 f(x)f(x)x=ax = a で連続であるとは、

limxaf(x)=f(a)\lim_{x \to a} f(x) = f(a)

が成り立つことをいいます。つまり「極限値が存在し、それが f(a)f(a) に一致する」ということで、グラフが x=ax = a でつながっているイメージです。多項式・三角関数・指数関数・対数関数は、定義域のすべての点で連続です。

定義域のすべての点で連続な関数を連続関数といい、連続関数には次の重要な定理が成り立ちます。

中間値の定理

関数 f(x)f(x) が閉区間 [a, b][a, \ b] で連続で、f(a)f(b)f(a) \ne f(b) ならば、f(a)f(a)f(b)f(b) の間の任意の値 kk に対して

f(c)=k,a<c<bf(c) = k \text{,} \quad a < c < b

を満たす実数 cc が少なくとも1つ存在する。

特に、f(a)f(a)f(b)f(b) が異符号ならば、方程式 f(x)=0f(x) = 0a<x<ba < x < b の範囲に少なくとも1つの実数解をもちます。方程式の「解の存在証明」の強力な道具です。

例題 8(中間値の定理)

方程式 xcosx=0x - \cos x = 00<x<π20 < x < \dfrac{\pi}{2} の範囲に実数解をもつことを示せ。

解き方

f(x)=xcosxf(x) = x - \cos x とおくと、f(x)f(x) は連続関数どうしの差なので、閉区間 [0, π2]\left[0, \ \dfrac{\pi}{2}\right] で連続です。

区間の両端での値を調べると

f(0)=0cos0=1<0f(0) = 0 - \cos 0 = -1 < 0
f ⁣(π2)=π2cosπ2=π2>0f\!\left(\frac{\pi}{2}\right) = \frac{\pi}{2} - \cos \frac{\pi}{2} = \frac{\pi}{2} > 0

f(0)f(0)f ⁣(π2)f\!\left(\dfrac{\pi}{2}\right) は異符号なので、中間値の定理により、f(c)=0f(c) = 0 すなわち ccosc=0c - \cos c = 0 を満たす実数 cc0<c<π20 < c < \dfrac{\pi}{2} に少なくとも1つ存在します。

よって、方程式 xcosx=0x - \cos x = 00<x<π20 < x < \dfrac{\pi}{2} の範囲に実数解をもちます。(証明終)

「連続であること」と「両端で異符号」の2点を必ず明記するのが答案のポイントです。

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