§1不定積分
F′(x)=f(x) となる関数 F(x) を f(x) の不定積分といい、∫f(x)dx=F(x)+C(C は積分定数)と書きます。数学IIIでは、xα(α は実数)、指数関数、三角関数など、扱える関数の種類が一気に広がります。微分の公式を「逆向きに読む」ことが基本です。
◆基本公式
∫xαdx=α+1xα+1+C(α=−1)、 ∫x1dx=log∣x∣+C
∫exdx=ex+C、 ∫axdx=logaax+C
∫sinxdx=−cosx+C、 ∫cosxdx=sinx+C
∫cos2xdx=tanx+C、 ∫sin2xdx=−tanx1+C
F′(x)=f(x) のとき、合成関数の微分を逆に使うと次が成り立ちます(a=0)。
「中身が1次式なら、積分してから中身の x の係数で割る」と覚えましょう。
例題 1(1次式の置き換え)
∫(2x+1)4dx を求めよ。
解き方
x4 の不定積分は 5x5 です。中身 2x+1 の x の係数 2 で割って
微分して (2x+1)4 に戻るか確認しましょう。101⋅5(2x+1)4⋅2=(2x+1)4 で確かに戻ります。
◆置換積分法
t=g(x) とおくと dt=g′(x)dx であり
特に、分子が分母の微分になっているときは
例題 2(置換積分)
∫2xx2+1dx を求めよ。
解き方
t=x2+1 とおくと dt=2xdx なので
t を元に戻して
「a の中身の微分(2x)が外に掛かっている」ことに気づくのがポイントです。
◆部分積分法
積の微分法 (fg)′=f′g+fg′ を逆に使うと
xsinx や xcosx、xex、logx を含む積分で活躍します。「微分すると簡単になる方」を f(x) に選ぶのがコツです。
例題 3(部分積分)
∫xcosxdx を求めよ。
解き方
x は微分すると 1 になって簡単になるので、f(x)=x、g′(x)=cosx(つまり g(x)=sinx)とします。
微分して検算すると、(xsinx+cosx)′=sinx+xcosx−sinx=xcosx で確かに戻ります。
§2いろいろな関数の積分
sin2x や cos2x はそのままでは積分できませんが、半角公式(次数下げの公式)で1次の式に直せば積分できます。「三角関数の積分は、まず次数を下げる」が合言葉です。
◆次数下げと積和の公式
sin2x=21−cos2x、 cos2x=21+cos2x、 sinxcosx=2sin2x
sinαcosβ=21{sin(α+β)+sin(α−β)} などの積和公式で、積の形も和の形に直せます。
例題 4(三角関数の積分)
∫cos2xdx を求めよ。
解き方
半角公式で次数を下げます。
cos2x の積分で、中身の係数 2 で割るのを忘れないようにしましょう。
tanx の積分は、tanx=cosxsinx と直すと、分子が分母の微分(の −1 倍)になっているので
と求められます。g(x)g′(x) の形を見抜く練習をしておきましょう。
◆分数関数の積分の定石
1. (分子の次数)≥(分母の次数)のときは、割り算をして分子の次数を下げる
2. 分母が積の形に因数分解できるときは、部分分数分解で分ける
3. g(x)g′(x) の形なら log∣g(x)∣+C
例題 5(部分分数分解)
∫x(x+1)dx を求めよ。
解き方
x(x+1)1=xa+x+1b とおいて通分すると、分子は a(x+1)+bx=(a+b)x+a。これが 1 と一致するので a=1、b=−1 です。
部分分数分解は、数列の和(数学B)でも使った「差の形に分ける」考え方と同じです。
§3定積分
定積分 ∫abf(x)dx=[F(x)]ab=F(b)−F(a) の計算でも、置換積分・部分積分が使えます。置換積分では、x の積分区間を t の積分区間に対応させて書き換えるのがポイントで、元の変数に戻す必要がなくなります。
◆定積分の置換積分
x=g(t) とおき、x が a から b まで動くとき t が α から β まで動くならば
特に重要な置き換え(a>0):
a2−x2 を含むとき … x=asinθ
a2+x21 を含むとき … x=atanθ
例題 6(三角関数による置換)
∫011−x2dx を求めよ。
解き方
x=sinθ とおくと dx=cosθdθ。x が 0 から 1 まで動くとき、θ は 0 から 2π まで動くとしてよく、この範囲では cosθ≥0 なので 1−sin2θ=cosθ です。
この定積分は、半径 1 の四分円の面積 4π を表しています。図形の意味と一致することを確認すると安心です。
◆定積分の部分積分
例題 7(定積分の部分積分)
∫0πxsinxdx を求めよ。
解き方
f(x)=x、g′(x)=sinx(つまり g(x)=−cosx)として
第1項は −πcosπ−0=π、第2項は [sinx]0π=0 なので
◆偶関数・奇関数の定積分
f(x) が偶関数(f(−x)=f(x)、グラフが y 軸対称)のとき
f(x) が奇関数(f(−x)=−f(x)、グラフが原点対称)のとき
積分区間が −a から a まで(原点対称)のときは、まず偶関数・奇関数に分けると計算が大幅に楽になります。
§4定積分の応用
定積分の最大の応用は、面積・体積・曲線の長さなどの「量」を求めることです。いずれも「細かく切って足し合わせる」という考え方が土台になっています。
◆面積
区間 a≤x≤b でつねに f(x)≥g(x) のとき、2曲線 y=f(x)、y=g(x) と直線 x=a、x=b で囲まれた図形の面積は
「上の関数 − 下の関数」を積分します。どちらが上かはグラフをかいて確認しましょう。
例題 8(面積)
曲線 y=x と直線 y=x で囲まれた図形の面積 S を求めよ。
解き方
まず交点を求めます。x=x の両辺を2乗して x=x2、すなわち x(x−1)=0 より x=0, 1(どちらも元の式を満たします)。
0≤x≤1 では x≥x(たとえば x=41 で 21>41)なので
◆体積
x 軸に垂直な平面で切った断面積が S(x) である立体の体積は
特に、曲線 y=f(x) を x 軸のまわりに1回転してできる回転体の体積は、断面が半径 ∣f(x)∣ の円なので
例題 9(回転体の体積)
曲線 y=x(0≤x≤1)と x 軸、直線 x=1 で囲まれた図形を x 軸のまわりに1回転してできる立体の体積 V を求めよ。
解き方
回転体の体積の公式で {f(x)}2=(x)2=x だから
y2 を積分するので、a を含む曲線の回転体はかえって計算が簡単になります。
◆曲線の長さ
曲線 y=f(x)(a≤x≤b)の長さは
曲線が媒介変数 t で x=f(t)、y=g(t)(α≤t≤β)と表されるときは
どちらも「短い線分の長さ(三平方の定理)を足し合わせる」という発想の式です。a の中が完全平方の形に変形できる問題が出題の中心です。