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数学A1

場合の数と確率

順列・組合せの数え上げから、確率の計算、条件付き確率まで学びます。

場合の数 ― 和の法則と積の法則

「起こりうる場合が全部で何通りあるか」を数えることを、場合の数を求めるといいます。確率の計算はすべて場合の数の数え上げの上に成り立つので、まずは「もれなく、重複なく」数える技術を身につけましょう。基本になるのは次の2つの法則です。

和の法則・積の法則

【和の法則】 2つの事柄 AABB が同時には起こらないとき、AA または BB が起こる場合の数は
(A(A の場合の数)) ++ (B(B の場合の数))

【積の法則】 事柄 AA の起こり方が mm 通りあり、そのそれぞれに対して事柄 BB の起こり方が nn 通りあるとき、AABB がともに起こる場合の数は
m×nm \times n 通り

「または」なら足し算、「そのそれぞれに対して」なら掛け算、と覚えましょう。

例題 1(和の法則)

大小2個のさいころを投げるとき、目の和が4の倍数になる場合は何通りあるか。

解き方

目の和は 22 から 1212 までなので、4の倍数になるのは和が 44881212 のときです。それぞれの場合を数えます。

和が 44: (1,3)(1,3)(2,2)(2,2)(3,1)(3,1)33 通り

和が 88: (2,6)(2,6)(3,5)(3,5)(4,4)(4,4)(5,3)(5,3)(6,2)(6,2)55 通り

和が 1212: (6,6)(6,6)11 通り

これらは同時には起こらないので、和の法則により

3+5+1=93 + 5 + 1 = 9 通り

大小のさいころは区別するので、(1,3)(1,3)(3,1)(3,1) は別の場合として数えることに注意しましょう。

場合の数は集合の言葉でも整理できます。全体集合 UU の部分集合 AA の要素の個数を n(A)n(A) と書くと、次の公式が成り立ちます。

集合の要素の個数

n(AB)=n(A)+n(B)n(AB)n(A \cup B) = n(A) + n(B) - n(A \cap B)

AABB の個数を単純に足すと、両方に属する要素(ABA \cap B)を2回数えてしまうので、1回分を引きます。また、補集合については

n(A)=n(U)n(A)n(\overline{A}) = n(U) - n(A)

「〜でないもの」の個数は、全体から引いて求めるのが基本です。

順列 ― 並べる数え方

異なる nn 個のものから rr 個を取り出して1列に並べる並べ方を順列といい、その総数を nPr {}_n \mathrm{P}_r と書きます。1番目の選び方が nn 通り、2番目が n1n-1 通り、…と積の法則を繰り返すと、次の公式が得られます。

順列の公式

nPr=n(n1)(n2)(nr+1)=n!(nr)! {}_n \mathrm{P}_r = n(n-1)(n-2)\cdots(n-r+1) = \frac{n!}{(n-r)!}

nn から始めて1ずつ減らしながら rr 個掛ける」と覚えましょう。特に nn 個すべてを並べるときは

nPn=n!=n(n1)(n2)21 {}_n \mathrm{P}_n = n! = n(n-1)(n-2)\cdots 2 \cdot 1

なお 0!=10! = 1 と約束します。

例題 2(順列)

5人の生徒から3人を選んで1列に並べる方法は何通りあるか。

解き方

先頭は 55 通り、2番目は残りの 44 通り、3番目は残りの 33 通りなので、積の法則により

5P3=5×4×3=60 {}_5 \mathrm{P}_3 = 5 \times 4 \times 3 = 60 通り

並べ方には、1列に並べる以外のパターンもあります。円形に並べる円順列と、同じものを繰り返し使ってよい重複順列です。

円順列と重複順列

【円順列】 異なる nn 個のものを円形に並べる並べ方は
(n1)!(n-1)! 通り
回転して重なる並べ方は同じとみなすので、1人(1個)を固定して残りを並べる、と考えます。

【重複順列】 異なる nn 種類のものから、重複を許して rr 個を取り出して並べる並べ方は
nrn^r 通り
各位置ごとに nn 通りの選び方があるので、積の法則で nnrr 回掛けます。

例題 3(円順列)

5人が円形のテーブルに着席する方法は何通りあるか。

解き方

円順列では、回転して同じになる座り方を区別しません。そこで特定の1人の席を固定すると、残り4人を4つの席に1列に並べるのと同じことになるので

(51)!=4!=24(5-1)! = 4! = 24 通り

組合せ ― 選ぶ数え方

異なる nn 個のものから、順序を考えずに rr 個を選ぶ選び方を組合せといい、その総数を nCr {}_n \mathrm{C}_r と書きます。順列 nPr {}_n \mathrm{P}_r では、同じ rr 個の選び方に対して r!r! 通りの並べ方を別々に数えているので、それで割れば組合せの数になります。

組合せの公式

nCr=nPrr!=n(n1)(nr+1)r(r1)21 {}_n \mathrm{C}_r = \frac{{}_n \mathrm{P}_r}{r!} = \frac{n(n-1)\cdots(n-r+1)}{r(r-1)\cdots 2 \cdot 1}

また、rr 個を選ぶことは残りの nrn-r 個を選ぶことと同じなので

nCr=nCnr {}_n \mathrm{C}_r = {}_n \mathrm{C}_{n-r}

たとえば 10C8 {}_{10} \mathrm{C}_810C2=45 {}_{10} \mathrm{C}_2 = 45 として計算する方が速いです。「並べるなら P、選ぶだけなら C」が使い分けの合言葉です。

例題 4(組合せ)

10人の部員から代表3人を選ぶ方法は何通りあるか。

解き方

3人は「選ぶだけ」で順序は関係ないので組合せです。

10C3=10×9×83×2×1=7206=120 {}_{10} \mathrm{C}_3 = \dfrac{10 \times 9 \times 8}{3 \times 2 \times 1} = \dfrac{720}{6} = 120 通り

同じものを含む順列

nn 個のもののうち、同じものがそれぞれ pp 個、qq 個、rr 個、…あるとき(p+q+r+=np+q+r+\cdots = n)、これらすべてを1列に並べる並べ方は

n!p!q!r!\dfrac{n!}{p! \, q! \, r! \cdots} 通り

いったん全部を区別して n!n! 通り数え、同じものどうしの入れ替え分(p!p! 通りなど)で割る、という考え方です。碁盤の目の道の最短経路の数え上げにも使えます。

例題 5(同じものを含む順列)

a、a、b、b、b の5文字すべてを1列に並べる方法は何通りあるか。

解き方

5文字のうち a が2個、b が3個なので

5!2!3!=1202×6=10\dfrac{5!}{2! \, 3!} = \dfrac{120}{2 \times 6} = 10 通り

別の見方をすると、「5つの場所から a を置く2か所を選ぶ」と考えて 5C2=10 {}_5 \mathrm{C}_2 = 10 通り、としても同じ答えになります。

人をいくつかの組に分ける「組分け」では、組に区別があるかないかで答えが変わります。組に名前(A組、B組など)があればそのまま組合せの積で数えますが、組に区別がなく人数が同じ組があるときは、組の入れ替え分で割る必要があります。この違いは練習問題でしっかり確認しましょう。

確率の基本性質

さいころを投げる、コインを投げるなど、同じ条件で繰り返せてどの結果が起こるか偶然に決まる実験や観測を試行といい、その結果として起こる事柄を事象といいます。起こりうるすべての結果のどれもが同じ程度に期待できるとき、これらは同様に確からしいといいます。このとき、事象 AA の確率は場合の数の比で定義されます。

確率の定義と基本性質

全事象 UU のどの結果も同様に確からしいとき、事象 AA の起こる確率は

P(A)=n(A)n(U)P(A) = \frac{n(A)}{n(U)}

つまり、(事象 AA の場合の数)を(起こりうるすべての場合の数)で割った比が確率です。

どんな事象 AA についても 0P(A)10 \le P(A) \le 1 で、決して起こらない事象の確率は 00、必ず起こる事象の確率は 11 です。

例題 6(確率の計算)

2枚の硬貨を同時に投げるとき、1枚だけ表が出る確率を求めよ。

解き方

2枚の硬貨を区別して考えると、表裏の出方は全部で 2×2=42 \times 2 = 4 通りで、これらは同様に確からしいです。

1枚だけ表になるのは(表、裏)と(裏、表)の 22 通りなので

P=24=12P = \frac{2}{4} = \frac{1}{2}

「表2枚・表1枚・表0枚の3通りだから 13\dfrac{1}{3}」とするのは誤りです。この3つは同様に確からしくありません。確率では、硬貨もさいころも人も、すべて区別して数えるのが鉄則です。

加法定理と余事象の確率

【加法定理】 事象 AABB が互いに排反(同時に起こらない)のとき

P(AB)=P(A)+P(B)P(A \cup B) = P(A) + P(B)

排反でない一般の場合は P(AB)=P(A)+P(B)P(AB)P(A \cup B) = P(A) + P(B) - P(A \cap B) です。

【余事象】 AA が起こらないという事象 A\overline{A}AA の余事象といい

P(A)=1P(A)P(\overline{A}) = 1 - P(A)

「少なくとも1つ〜」という確率は、余事象「1つも〜ない」から求めるのが定石です。

例題 7(余事象)

2個のさいころを同時に投げるとき、少なくとも一方に6の目が出る確率を求めよ。

解き方

「少なくとも一方が6」の余事象は「どちらも6でない」です。

どちらも6でない出方は 5×5=255 \times 5 = 25 通り、全体は 6×6=366 \times 6 = 36 通りなので

P(A)=2536P(\overline{A}) = \frac{25}{36}

よって求める確率は

P(A)=12536=1136P(A) = 1 - \frac{25}{36} = \frac{11}{36}

まともに数えると「一方だけ6」「両方6」と場合分けが必要になります。「少なくとも」を見たら余事象を疑いましょう。

独立な試行・反復試行と条件付き確率

2つの試行の結果が互いに影響しないとき、これらの試行は独立であるといいます。たとえば、さいころを投げる試行とコインを投げる試行は独立です。独立な試行では、確率を掛け算で組み合わせることができます。

独立な試行の確率と反復試行の確率

【独立な試行】 独立な試行で、事象 AA と事象 BB がともに起こる確率は

P(A)×P(B)P(A) \times P(B)

【反復試行】 1回の試行で事象 AA の起こる確率が pp のとき、この試行を nn 回繰り返して AA がちょうど rr 回起こる確率は

nCrpr(1p)nr {}_n \mathrm{C}_r \, p^r (1-p)^{n-r}

「どの回に AA が起こるか」の選び方が nCr {}_n \mathrm{C}_r 通りあることを忘れないのがポイントです。

例題 8(反復試行)

1枚の硬貨を3回投げるとき、表がちょうど1回出る確率を求めよ。

解き方

1回の試行で表の出る確率は 12\dfrac{1}{2} です。3回のうちどの回に表が出るかが 3C1=3 {}_3 \mathrm{C}_1 = 3 通りあるので、反復試行の公式より

P=3C1(12)1(12)2=3×18=38P = {}_3 \mathrm{C}_1 \left(\frac{1}{2}\right)^{1} \left(\frac{1}{2}\right)^{2} = 3 \times \frac{1}{8} = \frac{3}{8}

次に、「ある事象が起こったと分かっているときの確率」を考えます。事象 AA が起こったという条件のもとで事象 BB が起こる確率を、条件付き確率といい、PA(B)P_A(B) と書きます。全体が UU から AA に縮んだ、と考えるのがコツです。

条件付き確率と乗法定理

【条件付き確率】

PA(B)=P(AB)P(A)=n(AB)n(A)P_A(B) = \frac{P(A \cap B)}{P(A)} = \frac{n(A \cap B)}{n(A)}

【乗法定理】 これを変形すると、AABB がともに起こる確率は

P(AB)=P(A)×PA(B)P(A \cap B) = P(A) \times P_A(B)

くじを戻さずに順に引くときのように、前の結果が後の確率に影響する場面で活躍します。

例題 9(乗法定理)

当たりくじ3本を含む10本のくじがある。a、b の2人がこの順に1本ずつ引く(引いたくじは戻さない)とき、2人とも当たる確率を求めよ。

解き方

a が当たる事象を AA、b が当たる事象を BB とします。

a が当たる確率は P(A)=310P(A) = \dfrac{3}{10}

a が当たったとき、残りは9本で当たりは2本なので PA(B)=29P_A(B) = \dfrac{2}{9}

乗法定理により

P(AB)=310×29=690=115P(A \cap B) = \frac{3}{10} \times \frac{2}{9} = \frac{6}{90} = \frac{1}{15}

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