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数学A2

図形の性質

三角形の五心、円周角・方べきの定理、作図と空間図形の性質を学びます。

三角形の性質 ― 角の二等分線と五心

この章では、中学で学んだ図形の知識を土台に、三角形と円の性質をより深く調べます。まずは三角形の角の二等分線からです。角の二等分線は「向かい合う辺を、となり合う2辺の比に分ける」という美しい性質をもっています。

内角・外角の二等分線と辺の比

三角形 ABCABC において

A\angle A の(内角の)二等分線と辺 BCBC の交点を DD とすると、DD は辺 BCBCAB:ACAB:AC に内分する。すなわち BD:DC=AB:ACBD:DC = AB:AC

ABACAB \ne AC のとき、A\angle A の外角の二等分線と直線 BCBC の交点を EE とすると、EE は辺 BCBCAB:ACAB:AC に外分する。すなわち BE:EC=AB:ACBE:EC = AB:AC

例題 1(内角の二等分線)

AB=8AB = 8AC=6AC = 6BC=7BC = 7 の三角形 ABCABC において、A\angle A の二等分線と辺 BCBC の交点を DD とする。線分 BDBD の長さを求めよ。

解き方

内角の二等分線の性質より

BD:DC=AB:AC=8:6=4:3BD:DC = AB:AC = 8:6 = 4:3

DD は辺 BCBC4:34:3 に内分するので

BD=BC×44+3=7×47=4BD = BC \times \frac{4}{4+3} = 7 \times \frac{4}{7} = 4

次に、三角形に定まる特別な点を紹介します。どんな三角形でも、3本の中線・3本の垂直二等分線・3本の内角の二等分線・3本の垂線は、それぞれ必ず1点で交わります。これらの点に傍心を加えたものを三角形の五心といいます。

三角形の五心

・重心 GG … 3本の中線の交点。中線を頂点側から 2:12:1 に内分する

・外心 OO … 3辺の垂直二等分線の交点。3頂点から等距離で、外接円の中心

・内心 II … 3つの内角の二等分線の交点。3辺から等距離で、内接円の中心

・垂心 HH … 各頂点から対辺(またはその延長)に下ろした3本の垂線の交点

・傍心 … 1つの内角と他の2つの外角の二等分線の交点。傍接円の中心で、1つの三角形に3つある

例題 2(重心)

三角形 ABCABC の辺 BCBC の中点を MM とし、重心を GG とする。中線 AMAM の長さが 99 のとき、線分 AGAGGMGM の長さを求めよ。

解き方

重心は中線を頂点側から 2:12:1 に内分するので、AG:GM=2:1AG:GM = 2:1。よって

AG=9×23=6,GM=9×13=3AG = 9 \times \frac{2}{3} = 6, \quad GM = 9 \times \frac{1}{3} = 3

外心が「頂点から等距離」、内心が「辺から等距離」であることは、それぞれ垂直二等分線・角の二等分線の性質(垂直二等分線上の点は2点から等距離、角の二等分線上の点は2辺から等距離)から導かれます。名前だけ丸暗記せず、「なぜその点が1つに定まるのか」をセットで覚えましょう。

チェバの定理・メネラウスの定理

三角形の頂点と対辺上の点を結ぶ線分(チェバ線)が1点で交わるとき、辺の比の間に成り立つのがチェバの定理です。また、三角形を1本の直線で切ったときに成り立つのがメネラウスの定理です。どちらも「辺の比を次々に掛けると 1 になる」という形をしています。

チェバの定理

三角形 ABCABC の内部の点 OO に対し、直線 AOAOBOBOCOCO が対辺 BCBCCACAABAB とそれぞれ点 DDEEFF で交わるとき

BDDCCEEAAFFB=1\frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA} \cdot \frac{AF}{FB} = 1

頂点 BB から出発して BDCEAFBB \to D \to C \to E \to A \to F \to B と、辺の上を一周するように比を作ると覚えやすいです。

例題 3(チェバの定理)

三角形 ABCABC の辺 BCBCCACAABAB 上にそれぞれ点 DDEEFF があり、3直線 ADADBEBECFCF は1点で交わっている。BD:DC=3:2BD:DC = 3:2CE:EA=1:3CE:EA = 1:3 のとき、AF:FBAF:FB を求めよ。

解き方

チェバの定理より

BDDCCEEAAFFB=1\frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA} \cdot \frac{AF}{FB} = 1
3213AFFB=1\frac{3}{2} \cdot \frac{1}{3} \cdot \frac{AF}{FB} = 1

左の2つの積は 12\dfrac{1}{2} なので AFFB=2\dfrac{AF}{FB} = 2。よって

AF:FB=2:1AF:FB = 2:1

メネラウスの定理

三角形 ABCABC の頂点を通らない直線 \ell が、直線 BCBCCACAABAB とそれぞれ点 DDEEFF で交わるとき

BDDCCEEAAFFB=1\frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA} \cdot \frac{AF}{FB} = 1

式の形はチェバの定理と同じですが、直線 \ell は三角形を「切る」ので、DDEEFF のうち1つまたは3つは辺の延長上にあります。

例題 4(メネラウスの定理)

三角形 ABCABC の辺 ABAB の中点を MM、辺 ACAC3:13:1 に内分する点を NN とする。直線 MNMN と辺 BCBCCC 側の延長との交点を LL とするとき、BL:LCBL:LC を求めよ。

解き方

三角形 ABCABC と直線 MNLMNL にメネラウスの定理を使います。BLCNAMBB \to L \to C \to N \to A \to M \to B の順に比を作ると

BLLCCNNAAMMB=1\frac{BL}{LC} \cdot \frac{CN}{NA} \cdot \frac{AM}{MB} = 1

AN:NC=3:1AN:NC = 3:1 より CNNA=13\dfrac{CN}{NA} = \dfrac{1}{3}MM は中点なので AMMB=1\dfrac{AM}{MB} = 1。よって

BLLC131=1\frac{BL}{LC} \cdot \frac{1}{3} \cdot 1 = 1
BLLC=3\frac{BL}{LC} = 3

したがって BL:LC=3:1BL:LC = 3:1 です。

メネラウスの定理でつまずく人の多くは「どの三角形と、どの直線に使うか」で迷います。求めたい比を含む三角形を先に決め、頂点 → 分点 → 頂点 → 分点 → … と交互にたどって一周する、という手順を守れば式は機械的に立てられます。

円の性質 ― 円周角・内接四角形・接弦定理

ここからは円の性質です。まずは中学の復習も兼ねて、円周角の定理から始めます。同じ弧の上に立つ円周角がすべて等しいことは、この先のすべての定理の出発点になります。

円周角の定理とその逆

・1つの弧に対する円周角の大きさは一定で、その弧に対する中心角の半分である

・半円の弧に対する円周角は 9090^\circ(直径を見込む角は直角)

・逆に、2点 CCDD が直線 ABAB に関して同じ側にあり ACB=ADB\angle ACB = \angle ADB ならば、4点 AABBCCDD は同一円周上にある

例題 5(円周角の定理)

OO の周上に3点 AABBPP がある。弧 ABAB(PP を含まない側)に対する中心角 AOB\angle AOB130130^\circ のとき、円周角 APB\angle APB を求めよ。

解き方

円周角は同じ弧に対する中心角の半分なので

APB=12×130=65\angle APB = \frac{1}{2} \times 130^\circ = 65^\circ

円に内接する四角形

四角形が円に内接するとき

・対角の和は 180180^\circ

・1つの外角は、それととなり合う内角の対角(内対角)に等しい

逆に、対角の和が 180180^\circ である四角形は円に内接します。

例題 6(内接四角形)

四角形 ABCDABCD は円に内接し、A=100\angle A = 100^\circB=85\angle B = 85^\circ である。C\angle CD\angle D を求めよ。

解き方

円に内接する四角形の対角の和は 180180^\circ です。A\angle A の対角は C\angle CB\angle B の対角は D\angle D なので

C=180100=80\angle C = 180^\circ - 100^\circ = 80^\circ
D=18085=95\angle D = 180^\circ - 85^\circ = 95^\circ

接弦定理

円の接線とその接点を通る弦のなす角は、その角の内部にある弧に対する円周角に等しい。

たとえば、円周上の3点 AABBCC と、点 AA における接線上の点 TT(直線 ABAB に関して CC と反対側)について

TAB=ACB\angle TAB = \angle ACB

接弦定理は「接線を弦がわずかに回転したもの」とみなすと自然に理解できます。弦 ABAB'BB'AA に近づけていくと、弦は接線に近づき、円周角の定理が接弦定理へとつながっていきます。角度の計算問題では、円周角の定理・内接四角形・接弦定理の3つを組み合わせて使うのが定番です。

方べきの定理・2つの円・作図と空間図形

円と直線が交わってできる線分の長さの間には、方べきの定理と呼ばれる関係が成り立ちます。交点の位置(円の内部か外部か)によって3つの形がありますが、どれも「点 PP から円までの2つの距離の積が一定」という同じ内容です。

方べきの定理

・円の2つの弦 ABABCDCD(またはその延長)が点 PP で交わるとき

PAPB=PCPDPA \cdot PB = PC \cdot PD

これは PP が円の内部にあっても外部にあっても成り立つ。

・円の外部の点 PP から引いた接線の接点を TT とし、PP を通る直線が円と2点 AABB で交わるとき

PAPB=PT2PA \cdot PB = PT^2

例題 7(方べきの定理)

円の2つの弦 ABABCDCD が円の内部の点 PP で交わっている。PA=2PA = 2PB=6PB = 6PC=3PC = 3 のとき、PDPD を求めよ。

解き方

方べきの定理より

PAPB=PCPDPA \cdot PB = PC \cdot PD
2×6=3×PD2 \times 6 = 3 \times PD
PD=123=4PD = \frac{12}{3} = 4

2つの円の位置関係

半径 rrrr'(r>rr > r')の2円の中心間の距離を dd とすると、位置関係と共通接線の本数は次の5通りに分かれます。

d>r+rd > r + r' … 互いに外部にある(共通接線 4本)

d=r+rd = r + r' … 外接する(3本)

rr<d<r+rr - r' < d < r + r' … 2点で交わる(2本)

d=rrd = r - r' … 内接する(1本)

d<rrd < r - r' … 一方が他方の内部にある(0本)

この章の性質は、定規とコンパスによる作図の根拠にもなっています。垂直二等分線の作図は「2点から等距離の点の集まり」、角の二等分線の作図は「2辺から等距離の点の集まり」という性質そのものです。また、線分を m:nm:n に内分する点は、平行線と線分の比の性質を使って作図できます。作図の問題では「なぜその手順で正しいのか」を性質に立ち返って説明できることが大切です。

最後に空間図形です。すべての面が合同な正多角形で、どの頂点にも同じ数の面が集まる凸多面体を正多面体といい、正四面体・正六面体(立方体)・正八面体・正十二面体・正二十面体の5種類しかありません。多面体の頂点・辺・面の個数の間には、次のオイラーの多面体定理が成り立ちます。

オイラーの多面体定理

凸多面体の頂点の数を vv、辺の数を ee、面の数を ff とすると

ve+f=2v - e + f = 2

どんなにへこみのない多面体でも、この値は必ず 22 になります。

例題 8(オイラーの多面体定理)

正十二面体は正五角形 1212 枚の面からなる。辺の数 ee と頂点の数 vv を求めよ。

解き方

面は正五角形が 1212 枚なので、辺をすべての面について数えると 5×12=605 \times 12 = 60 本。ただし1本の辺は2つの面に共有されているので

e=602=30e = \frac{60}{2} = 30

オイラーの多面体定理 ve+f=2v - e + f = 2e=30e = 30f=12f = 12 を代入して

v=ef+2=3012+2=20v = e - f + 2 = 30 - 12 + 2 = 20

「辺は2つの面に共有される」「(正多面体なら)1つの頂点には決まった数の面が集まる」という数え方は、空間図形の個数の問題全般で使う考え方です。

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