ベクトルの基本
「東へ 3 km」のように、大きさだけでなく向きも持つ量をベクトルといい、 や のように表します。 は点 A から点 B へ向かう矢印で、その長さ(大きさ)を と書きます。向きと大きさが両方等しいベクトルは、位置が違っても「等しい」とみなします。ここがベクトルの大事な約束です。
座標平面では、ベクトルを成分で表せます。 は「 方向に 、 方向に 進む」ことを意味し、計算がぐっと楽になります。
平行条件は成分でも表せます。 と (ともに でない)が平行であるための条件は
です。「たすき掛けして引くと 」と覚えておくと、 を持ち出さずに判定できます。
ベクトルの内積
2つのベクトルの「なす角」の情報を取り出すために、内積という演算を定義します。内積の結果はベクトルではなく実数(数)になることに注意してください。
定義式を について解けば、なす角が求められます。
内積が正なら は鋭角、負なら鈍角、 なら直角です。符号を見るだけで角の種類がわかるのが内積の便利なところです。
内積の性質を使うと、 のような「和の大きさ」も扱えます。大きさはいったん2乗して
と展開するのが定石です。文字式の の展開とそっくりですが、真ん中の項が内積になっている点だけが違います。
位置ベクトル
基準となる点 O を1つ決めると、平面上の点 A の位置は というベクトルで指定できます。この を点 A の位置ベクトルといい、「」と書きます。点を「O からの矢印」で表すことで、図形の問題を計算で処理できるようになります。
内分点の公式は「分子で と の係数がたすき掛けの位置( に遠い方の 、 に近い方の )になる」と覚えます。 を代入すると中点の公式になることを確認しておくと、覚え間違いに気づけます。
ベクトルの図形への応用
2直線の交点の位置ベクトルを求める問題は、ベクトルの応用で最も重要なテーマです。カギになるのが「1次独立」という考え方です。
たとえば例題 4 は、 とおき、「P が直線 AD 上 と で表したときの係数の和が 、すなわち 」のように2つの式を立てても解けます。どちらの方法も使えるようにしておきましょう。
空間ベクトル
空間のベクトルは、成分が3つになるだけで、平面とほとんど同じルールで計算できます。 成分が増えても、加法・実数倍・内積の考え方はそのまま通用します。
空間では、1次独立なベクトルが3本(、、 が同一平面上にない)必要で、空間のどんなベクトルも の形にただ1通りに表せます。平面のときの係数比較が、空間では3つの係数の比較になるだけです。