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中3数学7

三平方の定理

直角三角形の3辺の関係と、平面・空間図形への応用を学びます。

三平方の定理

直角三角形には、3つの辺の長さの間にいつでも成り立つ、とても美しい関係があります。それが「三平方の定理」(ピタゴラスの定理)です。直角三角形で、直角に向かい合ういちばん長い辺を斜辺といいます。この章では、この定理を使って、いろいろな図形の長さを計算できるようになりましょう。

三平方の定理

直角三角形の直角をはさむ2辺の長さを aabb、斜辺の長さを cc とすると

a2+b2=c2a^2 + b^2 = c^2

つまり、「直角をはさむ2辺それぞれの上の正方形の面積の和は、斜辺の上の正方形の面積に等しい」ということです。

なぜこの定理が成り立つのか、面積を使った証明の考え方を紹介します。直角をはさむ2辺が aabb、斜辺が cc の直角三角形を4枚用意し、1辺が a+ba+b の大きな正方形の四隅にすき間なく並べます。すると、真ん中に1辺が cc の正方形ができます。

大きな正方形の面積を2通りに表すと

(a+b)2=4×12ab+c2(a+b)^2 = 4 \times \frac{1}{2}ab + c^2

左辺を展開すると a2+2ab+b2a^2 + 2ab + b^2、右辺は 2ab+c22ab + c^2 です。両辺から 2ab2ab を引くと

a2+b2=c2a^2 + b^2 = c^2

が得られます。「同じ面積を2通りに表して比べる」という発想がポイントです。

例題 1(辺の長さを求める)

(1) 直角をはさむ2辺が 44 cm と 66 cm の直角三角形の斜辺の長さを求めよ。
(2) 斜辺が 99 cm、他の1辺が 66 cm の直角三角形の残りの辺の長さを求めよ。

解き方

(1) 斜辺を xx cm とすると、三平方の定理より

x2=42+62=16+36=52x^2 = 4^2 + 6^2 = 16 + 36 = 52

x>0x > 0 だから x=52=213x = \sqrt{52} = 2\sqrt{13}。答えは 2132\sqrt{13} cm です。

(2) 求める辺を xx cm とすると、斜辺が 99 cm だから

x2+62=92x^2 + 6^2 = 9^2
x2=8136=45x^2 = 81 - 36 = 45

x>0x > 0 だから x=45=35x = \sqrt{45} = 3\sqrt{5}。答えは 353\sqrt{5} cm です。

注意してほしいのは、cc にあたるのは必ず「斜辺」だということです。斜辺は直角の向かい側にある、3辺の中でいちばん長い辺です。「どの辺が斜辺か」を最初に確認してから式を立てる習慣をつけましょう。また、辺の長さは正の数なので、x2=52x^2 = 52 のような式から xx を求めるときは、正の平方根だけを答えにします。

三平方の定理の逆と特別な直角三角形

三平方の定理は「直角三角形ならば a2+b2=c2a^2+b^2=c^2」という定理でした。実は、この逆も成り立ちます。つまり、3辺の長さを調べるだけで、その三角形が直角三角形かどうかを判定できるのです。

三平方の定理の逆

三角形の3辺の長さ aabbcc の間に

a2+b2=c2a^2 + b^2 = c^2

が成り立つならば、その三角形は長さ cc の辺を斜辺とする直角三角形である。

判定するときは、いちばん長い辺を cc として、a2+b2a^2+b^2c2c^2 が等しいかどうかを調べます。

例題 2(直角三角形の判定)

3辺の長さが 99 cm、1212 cm、1515 cm の三角形は直角三角形といえるか。

解き方

いちばん長い辺は 1515 cm なので、c=15c = 15 として調べます。

92+122=81+144=2259^2 + 12^2 = 81 + 144 = 225
152=22515^2 = 225

92+122=1529^2 + 12^2 = 15^2 が成り立つので、この三角形は 1515 cm の辺を斜辺とする直角三角形です。

なお、9:12:15=3:4:59:12:15 = 3:4:5 です。3:4:53:4:55:12:135:12:138:15:178:15:17 のような「三平方の定理が成り立つ整数の組」はよく出てくるので、覚えておくと計算が速くなります。

次に、角度に特徴のある2種類の直角三角形を見てみましょう。三角定規の形をした「45°45°45°45°90°90° の直角二等辺三角形」と「30°30°60°60°90°90° の直角三角形」です。この2つは、3辺の比が決まっているので、1辺の長さが分かれば残りの辺がすぐに求められます。

特別な直角三角形の3辺の比

45°45°45°45°90°90° の直角二等辺三角形の3辺の比は

1:1:21 : 1 : \sqrt{2}

30°30°60°60°90°90° の直角三角形の3辺の比は

1:2:31 : 2 : \sqrt{3}

(30°30° の角の向かいの辺が 11、斜辺が 2260°60° の角の向かいの辺が 3\sqrt{3})

どちらも三平方の定理で確かめられます。12+12=2=(2)21^2 + 1^2 = 2 = (\sqrt{2})^212+(3)2=4=221^2 + (\sqrt{3})^2 = 4 = 2^2 です。

例題 3(特別な直角三角形)

(1) 斜辺が 1010 cm の直角二等辺三角形の、直角をはさむ辺の長さを求めよ。
(2) 30°30°60°60°90°90° の直角三角形で、斜辺が 1212 cm のとき、残りの2辺の長さを求めよ。

解き方

(1) 3辺の比は 1:1:21:1:\sqrt{2} で、比の 2\sqrt{2} にあたる辺が 1010 cm です。直角をはさむ辺を xx cm とすると

x:10=1:2x : 10 = 1 : \sqrt{2}
2x=10x=102=1022=52\sqrt{2}x = 10 \qquad x = \frac{10}{\sqrt{2}} = \frac{10\sqrt{2}}{2} = 5\sqrt{2}

答えは 525\sqrt{2} cm です。検算すると (52)2+(52)2=50+50=100=102(5\sqrt{2})^2 + (5\sqrt{2})^2 = 50 + 50 = 100 = 10^2 で確かに合っています。

(2) 3辺の比は 1:2:31:2:\sqrt{3} で、比の 22 にあたる斜辺が 1212 cm だから、比の 11 にあたる辺(30°30° の向かいの辺)は 66 cm、比の 3\sqrt{3} にあたる辺(60°60° の向かいの辺)は 636\sqrt{3} cm です。

検算: 62+(63)2=36+108=144=1226^2 + (6\sqrt{3})^2 = 36 + 108 = 144 = 12^2

平面図形への利用

三平方の定理が本当に活躍するのはここからです。図形の中に直角三角形を見つける(または垂線を引いて自分で作る)ことで、いろいろな長さが計算できます。まずは、長方形や正方形の対角線、正三角形の高さです。

対角線と高さの公式

aa、横 bb の長方形の対角線の長さは a2+b2\sqrt{a^2+b^2}

1辺 aa の正方形の対角線の長さは 2a\sqrt{2}a

1辺 aa の正三角形の高さは 32a\dfrac{\sqrt{3}}{2}a、面積は 34a2\dfrac{\sqrt{3}}{4}a^2

正三角形は、頂点から底辺に垂線を引くと、30°30°60°60°90°90° の直角三角形が2つできます。ここから高さの公式が導けます。

例題 4(正三角形の高さと面積)

1辺が 44 cm の正三角形の高さと面積を求めよ。

解き方

頂点 A から底辺 BC に垂線 AH を引くと、H は BC の中点になるので BH=2BH = 2 cm です。直角三角形 ABH で三平方の定理を使うと

AH2=AB2BH2=4222=164=12AH^2 = AB^2 - BH^2 = 4^2 - 2^2 = 16 - 4 = 12

AH>0AH > 0 だから AH=12=23AH = \sqrt{12} = 2\sqrt{3}。高さは 232\sqrt{3} cm です。

面積は

12×4×23=43\frac{1}{2} \times 4 \times 2\sqrt{3} = 4\sqrt{3}

より 434\sqrt{3} cm² です。

円でも三平方の定理は大活躍します。ポイントは次の2つの性質で、どちらも図の中に直角三角形を作ってくれます。

1つ目は「円の中心から弦に引いた垂線は、その弦を2等分する」こと。中心 O、弦 AB、垂線の足を H とすると、直角三角形 OAH ができて、OAOA(半径)、OHOH(中心から弦までの距離)、AHAH(弦の半分)の間に三平方の定理が使えます。

2つ目は「円の接線は、接点を通る半径に垂直である」こと。円外の点 P から接線を引き、接点を A とすると、OAP=90°\angle OAP = 90° なので直角三角形 OAP ができます。

例題 5(円の弦)

半径 55 cm の円 O で、中心 O から 33 cm の距離にある弦 AB の長さを求めよ。

解き方

O から弦 AB に垂線 OH を引くと、OH=3OH = 3 cm、OA=5OA = 5 cm(半径)で、OHA=90°\angle OHA = 90° です。直角三角形 OAH で三平方の定理を使うと

AH2=OA2OH2=5232=259=16AH^2 = OA^2 - OH^2 = 5^2 - 3^2 = 25 - 9 = 16

AH>0AH > 0 だから AH=4AH = 4 cm。H は AB の中点なので

AB=2×AH=8AB = 2 \times AH = 8

答えは 88 cm です。

最後に、座標平面上の2点間の距離です。2点を結ぶ線分を斜辺として、xx 軸に平行な辺と yy 軸に平行な辺をもつ直角三角形を作れば、三平方の定理で距離が求められます。

2点間の距離

2点 A(x1, y1)\mathrm{A}(x_1, \ y_1)B(x2, y2)\mathrm{B}(x_2, \ y_2) の間の距離は

AB=(x2x1)2+(y2y1)2AB = \sqrt{(x_2 - x_1)^2 + (y_2 - y_1)^2}

xx 座標の差の2乗」と「yy 座標の差の2乗」を足して、平方根をとります。差は2乗するので、引く順番はどちらでもかまいません。

例題 6(2点間の距離)

2点 A(1, 2)\mathrm{A}(1, \ 2)B(4, 6)\mathrm{B}(4, \ 6) の間の距離を求めよ。

解き方

xx 座標の差は 41=34 - 1 = 3yy 座標の差は 62=46 - 2 = 4 です。よって

AB=32+42=9+16=25=5AB = \sqrt{3^2 + 4^2} = \sqrt{9 + 16} = \sqrt{25} = 5

答えは 55 です。3:4:53:4:5 の直角三角形が座標平面上に現れた、と見ることもできますね。

空間図形への利用

三平方の定理は空間図形でも使えます。コツは「空間の中から平面の直角三角形を切り出す」ことです。代表例が直方体の対角線です。縦 aa、横 bb、高さ cc の直方体で、まず底面の対角線を求め、次にその対角線と高さでできる直角三角形にもう一度三平方の定理を使います。

底面の対角線の2乗は a2+b2a^2 + b^2 です。直方体の対角線を dd とすると

d2=(a2+b2)+c2d^2 = (a^2 + b^2) + c^2

となり、次の公式が得られます。

直方体の対角線

aa、横 bb、高さ cc の直方体の対角線の長さは

a2+b2+c2\sqrt{a^2 + b^2 + c^2}

三平方の定理を2回使って導きます。特に1辺 aa の立方体の対角線は 3a\sqrt{3}a です。

例題 7(直方体の対角線)

22 cm、横 33 cm、高さ 66 cm の直方体の対角線の長さを求めよ。

解き方

公式にあてはめると

22+32+62=4+9+36=49=7\sqrt{2^2 + 3^2 + 6^2} = \sqrt{4 + 9 + 36} = \sqrt{49} = 7

答えは 77 cm です。このように、根号がきれいに外れることもあります。

角錐や円錐では、「高さ」を三平方の定理で求めてから体積を計算する問題が定番です。正四角錐なら、頂点から底面に下ろした垂線の足は底面の正方形の対角線の交点(中心)に一致します。円錐なら、母線・底面の半径・高さの3つで直角三角形ができます。

体積の公式は、角錐も円錐も「底面積 ×\times 高さ ×13\times \dfrac{1}{3}」でしたね。

例題 8(円錐の高さと体積)

底面の半径が 22 cm、母線の長さが 66 cm の円錐の高さと体積を求めよ。

解き方

高さを hh cm とすると、母線を斜辺、半径と高さを直角をはさむ2辺とする直角三角形ができるので

h2=6222=364=32h^2 = 6^2 - 2^2 = 36 - 4 = 32

h>0h > 0 だから h=32=42h = \sqrt{32} = 4\sqrt{2}。高さは 424\sqrt{2} cm です。

体積は

13×π×22×42=1623π\frac{1}{3} \times \pi \times 2^2 \times 4\sqrt{2} = \frac{16\sqrt{2}}{3}\pi

より 1623π\dfrac{16\sqrt{2}}{3}\pi cm³ です。

立体の表面にそって糸をかけるときの「最短の長さ」を求める問題もよく出ます。立体のままでは考えにくいですが、糸が通る面を展開図に広げると、最短の糸はまっすぐな線分になります。あとは展開図の上で直角三角形を作り、三平方の定理で長さを求めるだけです。「立体の表面上の最短距離は展開図で直線」と覚えておきましょう。

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