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中3数学1

多項式(展開と因数分解)

乗法公式による展開と因数分解、式の計算の利用を学びます。

多項式の乗法

単項式と多項式の積は、分配法則を使って計算できます。たとえば

2x(3x+4)=2x×3x+2x×4=6x2+8x2x(3x + 4) = 2x \times 3x + 2x \times 4 = 6x^2 + 8x

のように、かっこの中のすべての項に掛けます。

多項式どうしの積も考え方は同じです。(a+b)(c+d)(a+b)(c+d) は、a+ba+b をひとまとまりと見て ccdd に分配し、さらにもう一度分配法則を使うと

(a+b)(c+d)=ac+ad+bc+bd(a+b)(c+d) = ac + ad + bc + bd

となります。このように、積の形の式をかっこをはずして単項式の和の形に表すことを、式を展開するといいます。縦 a+ba+b、横 c+dc+d の長方形を4つの小さい長方形に分けると、面積が acacadadbcbcbdbd の4つに分かれることからも、この計算が正しいことがわかります。

展開の中でも特によく出てくる形は、公式として覚えてしまうと計算がぐっと速くなります。次の4つを乗法公式といいます。

乗法公式

1. (x+a)(x+b)=x2+(a+b)x+ab(x+a)(x+b) = x^2 + (a+b)x + ab

2. (x+a)2=x2+2ax+a2(x+a)^2 = x^2 + 2ax + a^2

3. (xa)2=x22ax+a2(x-a)^2 = x^2 - 2ax + a^2

4. (x+a)(xa)=x2a2(x+a)(x-a) = x^2 - a^2

どれも分配法則で展開した結果をまとめたものです。公式1で b=ab=a とすると公式2、b=ab=-a とすると公式4になるので、公式1がすべての土台です。

例題 1(乗法公式による展開)

次の式を展開しなさい。
(1) (x+3)(x5)(x+3)(x-5)
(2) (x4)2(x-4)^2
(3) (x+6)(x6)(x+6)(x-6)

解き方

(1) 公式1 (x+a)(x+b)=x2+(a+b)x+ab(x+a)(x+b) = x^2 + (a+b)x + ab で、a=3a=3b=5b=-5 です。a+b=3+(5)=2a+b = 3+(-5) = -2ab=3×(5)=15ab = 3 \times (-5) = -15 なので

(x+3)(x5)=x22x15(x+3)(x-5) = x^2 - 2x - 15

(2) 公式3 (xa)2=x22ax+a2(x-a)^2 = x^2 - 2ax + a^2 で、a=4a=4 とすると

(x4)2=x22×4×x+42=x28x+16(x-4)^2 = x^2 - 2 \times 4 \times x + 4^2 = x^2 - 8x + 16

(3) 公式4(和と差の積)で、a=6a=6 とすると

(x+6)(x6)=x262=x236(x+6)(x-6) = x^2 - 6^2 = x^2 - 36

2x2x のような単項式も、1つのまとまりと見れば公式が使えます。たとえば (2x+1)2(2x+1)^2 は、公式2で xx の部分を 2x2xaa の部分を 11 と考えて

(2x+1)2=(2x)2+2×1×2x+12=4x2+4x+1(2x+1)^2 = (2x)^2 + 2 \times 1 \times 2x + 1^2 = 4x^2 + 4x + 1

と展開できます。(2x)2=4x2(2x)^2 = 4x^2 であって 2x22x^2 ではないことに注意しましょう。

因数分解

x2+5x+6=(x+2)(x+3)x^2 + 5x + 6 = (x+2)(x+3) のように、多項式をいくつかの式の積の形に表すことを因数分解といい、積をつくっている1つ1つの式を因数といいます。因数分解は展開のちょうど逆の操作です。展開が「かっこをはずす」なら、因数分解は「かっこをつくる」計算だといえます。

因数分解でまず最初にやるべきことは、共通因数をくくり出すことです。すべての項に共通な因数があれば、分配法則を逆に使ってかっこの外に出します。

ma+mb=m(a+b)ma + mb = m(a + b)

たとえば 3x2+6x3x^2 + 6x は、どちらの項にも 3x3x が共通なので 3x(x+2)3x(x+2) と因数分解できます。

乗法公式を逆に使う因数分解

1. x2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)x^2 + (a+b)x + ab = (x+a)(x+b)

2. x2+2ax+a2=(x+a)2x^2 + 2ax + a^2 = (x+a)^2

3. x22ax+a2=(xa)2x^2 - 2ax + a^2 = (x-a)^2

4. x2a2=(x+a)(xa)x^2 - a^2 = (x+a)(x-a)

公式1を使うときは、「掛けて abab(定数項)、足して a+ba+b(xx の係数)になる2つの数」を探します。

例題 2(公式による因数分解)

次の式を因数分解しなさい。
(1) x2+7x+12x^2 + 7x + 12
(2) x281x^2 - 81

解き方

(1) 掛けて 1212、足して 77 になる2つの数を探します。1212 を2数の積に分けると、1×121 \times 122×62 \times 63×43 \times 4 があり、このうち和が 77 になるのは 3344 です。よって

x2+7x+12=(x+3)(x+4)x^2 + 7x + 12 = (x+3)(x+4)

(2) 81=9281 = 9^2 なので、公式4 x2a2=(x+a)(xa)x^2 - a^2 = (x+a)(x-a) が使えます。

x281=x292=(x+9)(x9)x^2 - 81 = x^2 - 9^2 = (x+9)(x-9)

因数分解したら、展開してもとの式に戻るかを確かめる習慣をつけましょう。

「掛けて abab、足して a+ba+b」の2数を探すときは、符号に注目すると候補をしぼれます。

積が正なら2数は同符号(和が正なら両方とも正、和が負なら両方とも負)、積が負なら2数は異符号です。たとえば x22x15x^2 - 2x - 15 では、掛けて 15-15(異符号)、足して 2-2 なので、335-5 が見つかり、(x+3)(x5)(x+3)(x-5) と因数分解できます。

いろいろな因数分解

公式がそのままでは使えない式も、ひと工夫すると因数分解できることがあります。基本は「まず共通因数をくくり出し、かっこの中に公式が使えないか調べる」という順番です。

例題 3(共通因数と公式の組み合わせ)

2ax28a2ax^2 - 8a を因数分解しなさい。

解き方

どちらの項にも共通因数 2a2a があるので、まずくくり出します。

2ax28a=2a(x24)2ax^2 - 8a = 2a(x^2 - 4)

かっこの中の x24=x222x^2 - 4 = x^2 - 2^2 は、公式4でさらに因数分解できます。

2a(x24)=2a(x+2)(x2)2a(x^2 - 4) = 2a(x+2)(x-2)

「これ以上因数分解できない」ところまで進めるのがルールです。2a(x24)2a(x^2-4) で止めると不十分なので注意しましょう。

式の中に同じまとまりがくり返し出てくるときは、そのまとまりを1つの文字におき換えると、見慣れた形になります。これをおき換えによる因数分解といいます。

例題 4(おき換え)

(x3)2+4(x3)12(x-3)^2 + 4(x-3) - 12 を因数分解しなさい。

解き方

x3x-3 が2か所に出てくるので、x3=Ax-3 = A とおきます。

A2+4A12A^2 + 4A - 12

掛けて 12-12、足して 44 になる2数は 662-2 なので

A2+4A12=(A+6)(A2)A^2 + 4A - 12 = (A+6)(A-2)

最後に AAx3x-3 に戻します。

(x3+6)(x32)=(x+3)(x5)(x-3+6)(x-3-2) = (x+3)(x-5)

おき換えたら必ずもとに戻すこと、戻したあとにかっこの中を整理することを忘れないようにしましょう。

因数分解の手順

1. まず共通因数をくくり出す

2. 公式1〜4が使えないか調べる

3. 同じまとまりがあれば1つの文字におき換える

4. 「これ以上分解できないか」を最後に確認する

この順番で考えれば、中学で出てくる因数分解はすべて解けます。

式の計算の利用

乗法公式や因数分解は、文字式のためだけの道具ではありません。数の計算を工夫したり、数や図形の性質を証明したりするときにも役立ちます。

たとえば 1012101^2 をそのまま筆算するのは大変ですが、101=100+1101 = 100 + 1 と見ると

1012=(100+1)2=1002+2×1×100+12=10000+200+1=10201101^2 = (100+1)^2 = 100^2 + 2 \times 1 \times 100 + 1^2 = 10000 + 200 + 1 = 10201

と暗算でも計算できます。

例題 5(数の計算の工夫)

乗法公式や因数分解を利用して、次の計算をしなさい。
(1) 97×10397 \times 103
(2) 65235265^2 - 35^2

解き方

(1) 97=100397 = 100 - 3103=100+3103 = 100 + 3 と見ると、和と差の積の公式が使えます。

97×103=(1003)(100+3)=100232=100009=999197 \times 103 = (100-3)(100+3) = 100^2 - 3^2 = 10000 - 9 = 9991

(2) a2b2=(a+b)(ab)a^2 - b^2 = (a+b)(a-b) を利用して因数分解してから計算します。

652352=(65+35)(6535)=100×30=300065^2 - 35^2 = (65+35)(65-35) = 100 \times 30 = 3000

100100 に近い数の積」や「2乗の差」を見たら、公式が使えないか考えるのがコツです。

数の性質を証明するときは、整数を文字で表します。整数 nn を使うと、いろいろな数を次のように表せます。

  • 連続する3つの整数 … n1n-1nnn+1n+1(または nnn+1n+1n+2n+2)

  • 偶数 … 2n2n、 奇数 … 2n+12n+1

  • 連続する2つの奇数 … 2n+12n+12n+32n+3

  • 5の倍数 … 5n5n

例題 6(数の性質の証明)

連続する2つの整数では、大きい方の2乗から小さい方の2乗をひいた差は、その2つの整数の和に等しくなります。このことを証明しなさい。

解き方

整数 nn を使って、連続する2つの整数を nnn+1n+1 と表します。大きい方の2乗から小さい方の2乗をひくと

(n+1)2n2=n2+2n+1n2=2n+1(n+1)^2 - n^2 = n^2 + 2n + 1 - n^2 = 2n + 1

一方、2つの整数の和は

n+(n+1)=2n+1n + (n+1) = 2n + 1

したがって、差と和はどちらも 2n+12n+1 で等しくなります。

たとえば 6252=3625=11=5+66^2 - 5^2 = 36 - 25 = 11 = 5 + 6 のように、具体例で確かめると証明の意味がよくわかります。

証明の書き方の型

1. 使う数を文字で表す(「整数 nn を使って〜と表す」)

2. 問題の内容を式に直し、展開や因数分解で計算する

3. 結果が目的の形(たとえば 4の倍数なら 4×4 \times 整数)になっていることを述べる

「何を文字でおくか」を最初にはっきり書くことが、証明のいちばん大事なポイントです。

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